しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「街」の「断・捨・離」を考える

今日14日の日経新聞「複眼」欄に掲載された

『捨てられる不動産 どう解決』という記事を興味深く読みました。

『持ち主が分からない土地、増え続ける空き家、

 再開発が思うに任せないまま進行する「都市のスポンジ化」‥‥。

 かつての「土地神話」が崩れた日本では、有効利用されない資産が経済成長の足かせになりつつある。

 人口減少時代の「捨てられる不動産」に、我々はどう向き合うべきか。』


記事の冒頭に書かれたこの問い掛けに対して、

増田寛也・元総務相、谷沢淳一・三菱地所執行役専務及び中川雅也・日本大学教授の三人が、

それぞれのお考えを披歴されていましたが、私が注目したのは、中川教授の次のような言葉でした。


『 ~(略)~ もう一つ重要なのは、国も自治体も、

 これからの人口減少に正面から向き合えていないという事実だ。

 政府が掲げる「地方創生」は「地方の消滅を防げ」という掛け声から始まった。

 地域を活性化しなければいけないという問題意識はわかるが、

 地域活性化という一発逆転ホームランを打てれば、

 人口減少に向かい合わなくていいとの意識が潜んでいると思う。

 自治体ごとの地方創生戦略をみても、高めの出生率を想定しているところが多い。

 だが今後すべての地域で人口が増えていく状態は考えにくい。

 それなのに自分の街の人口が減ることに、市町村はいまひとつ向き合えていない。

 国は地方創生という名の下にバラマキを続けている。

 こんな意識では都市を縮めることはとうていできない。』


う~む、なるほど‥‥。

確かに、「地方創生」や「地域活性化」というと、「人口減少対策」が真っ先に思い浮かびますが、

中川教授のご指摘のとおり、これからは人口減少を「所与の条件」と覚悟したうえで、

「街の縮小」に正面から向き合う必要があるのかもしれません。


私個人としては、「老いじたく」の一環として、

「なるべくモノを増やさない、いらないものは処分していく」

といったことを心掛けたいと思っているところですが、

どうやら「街」にも、「断・捨・離」を実行に移すことが求められているようです。

グローバル化と資本主義の未来

昨日12日に、朝日新聞デジタル版に掲載された

『(平成経済)第1部・グローバル化と危機:3 企業の利益、給与に回らず』

という記事を読んで、いろいろと考えることがありました。

まず、記事の冒頭は次のような文章から始まります。


アベノミクスによる円安のもと、日本企業の利益は過去最高をぬりかえた。

 巨額のもうけの行き先は、企業の預金や株主への配当で、社員の給与や設備投資には回らない。

 企業が栄えれば国民のくらしが豊かになる‥‥。そんな図式は、平成で終わりを告げた。』


そして、この記述を裏付けるかのような、次のような事実が紹介されていました。

・企業が16年度に稼ぎ出した純利益は過去最高の50兆円にのぼり、

 金融危機が本格化する前の96年度から5・6倍に増えた。

 だが、人件費は2%増、設備投資は6%減った。リーマン・ショック前の06年度と比べても、

 純利益は8割増えたが、人件費は横ばいで、設備投資は2%減った。

・一方で、国内企業が16年度末に保有する現預金は211兆円と過去最高の金額にふくれあがった。

 個別の企業(単体)を見ると、スバルが10年前の18倍、日産自動車は9倍、

 三菱電機は2.5倍に増えた。

・現預金とともに企業が稼いだお金を回しているのが、株主への配当だ。

 16年度の国内企業全体の配当額は、10年前から24%増の20兆円。

 スバルは配当額を17倍に増やしたが、正社員の給与総額の伸びは3割強にとどまる。


なお、高度成長を遂げた昭和時代は、企業がもうかれば、

社員の給与や設備投資に回り、さらなる消費や投資に結びつく好循環があって、

財務省の法人企業統計調査(金融・保険業除く)によると、

1961~89年度にかけて純利益は21倍に増え、その間、

人件費と設備投資(ソフトウェア除く)はそれぞれ37倍、17倍となったとのことでした。


う~む‥‥、こうした高度成長時代の好循環は、どうして平成に入ると崩れてしまったのでしょう?

記事によると、どうやらその答えは、

「90年代の金融危機リーマン・ショック」にあるようです。

リーマン・ショックの際には、グローバル化の寵児といわれ、無借金経営で知られた

あのトヨタでさえ、市場での資金調達が困難になったとのことで、

それ以降、世界市場が回復し、過去最高益を稼げるようになっても

トヨタは、新工場建設などには慎重なまま。その結果、自由に使える資金は9兆円を超え、

これは、リーマン前の2倍以上で、「半年間、1台も車が売れず、

1円も資金が借りられなくても経営が成り立つ金額」だそうですです。


再び、う~む‥‥。(沈黙)

そういえば、そんな企業の経済環境を反映してか、私の現役公務員時代を振り返ってみても、

給与は2000年(平成12年)頃がピークで、それ以降、定年退職までのは約15間は、

給与抑制措置などもあって、ベースアップ昇の恩恵に浴したことはほとんどありませんでした。


なお、先ほどの記事では、『グローバル化が進み、世界中で富がごく一部の富裕層に集中。

中間層からずり落ちていく人が増え、社会の分断が深まる。』とも書かれていました。

グローバル化と資本主義の未来‥‥。

私たちはこの先、いったいどんな社会と世界を生きて行くのでしょう?

パンドラの箱ではないけれど、「希望」だけは生き残る社会であってほしいです。

絶好のPR材料かも?

今日11月12日は、(いいヒフの日)ということらしく、

日経新聞には「POLA」の全面広告が掲載されていました。

その広告によると、「美肌県グランプリ2017」で富山県が美肌全国1位に輝いたとのことでした。


①肌がうるおっている、②キメが整っている、③毛穴が目立たない、④シワができにくい、⑤くすみがない、

⑥シミができにくい、⑦ニキビができにくい、⑧マイクロダストに強い

の8項目がレーダーチャートになっていて、富山県は「美肌偏差値70.97」という結果でした。

「日照時間や降水量など、美肌に適した気象環境と、

良質なたんぱく質、ミネラル、ビタミンたっぷりの海の幸が、美肌県をつくったのかもしれません。」

という解説もありました。


そして、愛媛県はというと、なんと「美肌偏差値62.34」で堂々の全国5位という結果でした。

誠にご同慶に堪えません‥‥。

ちなみに、2位は石川県、3位は秋田県、4位は岡山県、6位は島根県と続きます。


う~む、なるほど‥‥。

この結果を見ると、上位の県は、日本海と瀬戸内海に面した県であることが分かります。

(なぜか香川県は全国41位だけど‥‥。)

解説にもあったように、日照時間や湿度、海の幸や山の幸といった、生活するうえでの好条件が

肌にも良い影響を与えているのかもしれません。

(愛媛県は、道後温泉を代表とする温泉施設が身近に多いことも挙げられますと思います。)


ということで、この広告を見て私は、愛媛県への移住を希望される方や、

移住を考えてみたいと思っている方に向けての、絶好のPR材料になるのではないかと思いました。

ところで、肝心の我が家の奥様と我が娘の美肌の状況は如何‥‥?

そのコメントは都合により控えさせていただきます‥‥。(苦笑)

矛盾のなかで生きること

今日11日は、第二土曜日です。

ということで、今日は夕方から恒例の漢方薬草湯「元気人村」に行ってきました。

サウナでたっぷりと汗を流してから、ぬるめの漢方薬草湯に身体を浸し、

火照った体を冷やすために露天風呂へ‥‥。

渚に寄せるさざ波の音を聴き、夜空を見上げて輝く星を眺める‥‥。

私にとっては至福のひと時で、心も身体もリフレッシュできる瞬間です。


さて、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?~弱いからこそわかること』

(頭木弘樹著:春秋社)を読了しました。

頭木さんの著作を読むのは、『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)に続いて二冊目となります。

この本のなかでもカフカの名言がたくさん紹介されていましたが、

私が選んだ一番の名言は次の言葉でした。

『なんらかの矛盾のなかでのみ、ぼくは生きることができる。

 もっとも、これは誰でもそうなのだろう。

 人は、生きながら死んでいき、死にながら生きていくのだから』


そして、この後、頭木さんの解説が次のように続きます。

『「決断した人」の人生について知ることも、もちろん私たちの人生にとって大いに参考になります。

 しかし、「決断しなかった人」の人生について知ることも、

 また私たちの人生に大いに参考になると、私はカフカの人生を追っていて思いました。』

なお、「したいけど、したくない。したくないけど、したい」という永遠の葛藤は、

カフカの重要な特徴であると、頭木さんは本書の別のページで述べられています。


ところで、村上春樹さんの著書に「海辺のカフカ」(新潮文庫)という小説があります。

この小説の内容を思い出すことはなかなかできませんが、題名だけは忘れたことはありませんでした。

その「海辺のカフカ」の写真が、この本の巻末に掲載されていたのにはびっくりくました。

父親と二人で海辺で写っている31歳のカフカは、にこやかに笑っているようです。

「いつも死にたがっていた男」には私にはどうしても見えませんでした‥‥。


それはともかくして、優柔不断で精神力の弱い私を、

「大丈夫‥、そのままで生きていていいよ‥」と、この本は励ましてくれるようです。

カフカはなぜ自殺しなかったのか?: 弱いからこそわかること

カフカはなぜ自殺しなかったのか?: 弱いからこそわかること

???だらけの映画

今月4日、三連休の中日に、映画『三度目の殺人』を観に行きました。
http://gaga.ne.jp/sandome/


是枝裕和さんが監督、福山雅治さん、役所広司さん、そして広瀬すずさんが出演の映画で、

映画好きの大学の先輩の評価が一押しの◎(二重丸)だったことや、

上映終了が間近に迫っていたことから、急に思いつきました。

私が映画を観に行くパターンは、いつもこんな感じです。


観終わった後、すぐにこの日記に感想を書けなかったのは、頭が混乱していたからです。

犯人の殺人の動機は何だったのか? 殺人を犯したのは本当に事実なのか?

真実はどうだったのか?‥‥‥。最後の最後まで分かりませんでしたし、今も分かりません。

これこそが、監督の意図するところだったのでしょうか?


人は何を信じたらいいのか? そもそも人が人を裁くことができるのか?

???‥‥だらけで、人の頭を混乱させてくれる、傑作の心理サスペンス映画だと思います。(苦笑)