しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

読書・文学

一度は、虎になる

『名著入門~日本近代文学50選』(平田オリザ著:朝日新書)を読了しました。4週間に一度の泌尿器科病院の通院の際、郊外電車の車内と病院の待合室で、コツコツと読み進めていたものですが、ようやく読み終えることができました。 本書は、森鴎外「舞姫」…

世界の哲学者の思考を学ぶ

今日は終日、雨が降り続きました。しかも、一時は猛烈な雨でした。町内を流れる中小河川の氾濫が心配です‥。 さて、『いま世界の哲学者が考えていること』(岡本裕一朗著:朝日文庫)を読了しました。マルクス・ガブリエル、ジョルジョ・アガンベン、ジュデ…

視覚プラス聴覚の読書法

新しい読書方法を見つけました‥。 たまたま「一の朗読(いちのろうどく)」というポッドキャストに遭遇して、試しに聴いてみたところ、一璃(にのまえあき)さんという女性の方の朗読が、聴いていて惚れ惚れするほどお上手でした。 そこでさっそく、手元に中…

本との付き合い方も人それぞれ

「西の海岸」への散歩の途中、地区の農園に立ち寄ると、先日に植え付けたサツマイモが順調に生育していました。また、北黒田の海岸は、これまた先日に清掃したばかりなのに、またたくさんの流木が漂着していました。海岸漂着ゴミは、間違いなく環境に負荷か…

環境倫理の古典を読む

『沈黙の春』(レイチェル・カーソン:新潮文庫)を読了しました。放送大学のテキスト『哲学・思想を今考える』で、環境倫理を提起した古典として引用されていましたが、たまたま古本屋で発見するという幸運に恵まれたので、迷わず購入しました。 本書には、…

「重たい」小説

四国地方が今日、梅雨入りしました。夕刻からは雨が降り出しました‥。 さて、古本屋でたまたま見つけた『象の背中』(秋元康著:扶桑社文庫)を読了しました。秋元康という著者名に目に留まったからです。本書には、登場人物を通じて、著者の人生訓というか…

戦後復興を支えたもの

古本屋で安く手に入れた新品同様の『三千円の使い方』(原田ひ香著:中公文庫)を読了しました。お金のことを真正面に取り扱った本を初めて読みましたが、なかなか面白くて、しかも示唆に富んだり、参考になったりする記述もありました。 本書後半の奨学金の…

「積ん読」と「積読」

5月4日の朝日新聞一面コラム「天声人語」は、積読本に関する内容で、次のようなことが書かれていました。 『‥‥積ん読という言葉は意外と古い。都立中央図書館が調べたところ、起源ははっきりしないものの、 江戸時代には「つくどく」や「積而置(ツンドク…

回顧録という財産

今日は、四週間に一度の泌尿器科病院の通院の日でした。受診後はいつものように、大街道商店街の吉野家でボリューム満点のから揚げ定食を食べ、松山三越内のジュンク堂書店に立ち寄り、再び伊予鉄道松山市駅に向かうという行動パターンで、ぐるっと松山市中…

心の中で旅をする

今日の愛媛新聞に、世界的建築家の安藤忠雄さんが、自身が設計された松山市の「坂の上の雲ミュージアム」に、子ども向けの「こども本の森」図書館を整備し、松山市に寄贈することを計画している、という記事が掲載されていました。同時に、安藤さんへのイン…

積読の効用

今日の日経新聞一面コラム「春秋」は、読書に関する内容で、次のようなことが書かれていました。 『読書には3種類ある。朗読、黙読、そして積置(つんどく)だ――。 江戸時代、すでにそんな分類法があったという。 明治に入り、「置」のかわりに「読」の字を…

「退屈の正体」を学ぶ

『暇と退屈の倫理学』(國分功一郎著:新潮文庫)を読了しました。「なぜ人は退屈するのか?」その答えは、付録「傷と運命」(『暇と退屈の倫理学』増補新版によせて)で、次のように書かれていました。 『‥‥人はサリエンシーを避けて生きるのだから、サリエン…

「ドイツ教養小説の大作」を読了

「ドイツ教養小説の大作」、トーマス・マンの『魔の山 上・下』(高橋義孝訳:新潮文庫)を読了しました。 物語の主人公、ハンス・カストルプのアルプス山中にあるサナトリウム「ベルホーク」での生活が、「時間」という概念を思慮しながら永遠に続くのでは…

もう一踏ん張り

松山市道後公園の桜(ソメイヨシノ)は昨日開花しましたが、今日散歩した松前公園のソメイヨシノは、下左側の写真のように、「もう一踏ん張り」といった感じです。そして、下右側の写真の桜は、もう葉桜の状態になっていました。これって、なんていう名前の…

哲学書と「身を切る覚悟」

町立図書館で借りてきた『高校生のための哲学・思想入門 哲学の名著セレクション』(竹田青嗣、西研著:筑摩書房)を読了しました。 「高校生のための」とは言いながらなのか、「高校生のための」だからこそなのか、書かれている内容は、「濃密なもの」「高…

光は「春の世界」

今日はよく晴れ渡ったものの、肌に触れる空気は、まだまだ冷たいものがありました‥。そうは言いながら、煌めく光は、もう完全に「春の世界」です‥‥。 さて、『欲望』(小池真理子著:新潮文庫)を読了しました。「三島由紀夫邸を寸分違わず模倣した奇妙な館…

3冊目のモンテーニュ

庭のヤマモミジの土の表面近くの幹に、数か所、小さな穴がぽっかりと空いているのを発見しました‥。どうやらテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)の仕業のようです。ホームセンターでその穴をふさぐ薬を買ってきて塗布しましたが、ちょっと手当てが遅かったか…

「日常」から「思想」を取り出す

『ぼくらの戦争なんだぜ』(高橋源一郎著:朝日新書)を読了しました。本書では、大岡昇平の戦争小説「野火」と、向田邦子のエッセイ「ごはん」に関しての記述が、特に印象に残りました。具体的には、次のような著者のご指摘です。 ・「野火」は「彼らの戦争…

読書は最高の自己投資

今日は、二十四節気「立春」の節入り日で、また、立春の初候は、「東風凍を解く(はるかぜこおりをとく)」となっています。「春」という漢字一文字を聞くだけで、不思議なことに心まで軽くなります‥‥。 さて、今日の日経新聞「読書」欄の「リーダーの本棚」…

生きることとしての哲学

『哲人たちの人生談義~ストア哲学をよむ』(國方 栄二著:岩波新書)を読了しました。 本書の「あとがき」での著者の次の記述を読むと、本書の執筆意図がよく理解できます。『本書ではストア派の論理学や自然学についてはほとんどと言ってよいほど言及して…

未来のために過去はある

町立図書館で借りてきた『歴史の本棚』(加藤陽子著:毎日新聞出版)を読了しました。 1930年代の日本の軍事と外交がご専門の著者は、本書の「はじめに」で次のようなことを述べられています。『‥‥日中戦争中の1937年12月、中華民国政府の首都・南…

豊饒な言葉の数々と再会する

昨年末に、『夏の闇』(開高健著:新潮文庫)を読了しました。 文藝春秋新年特大号の「続100年後まで読み継ぎたい100冊」で、文芸ジャーナリストの佐久間文子さんと外交ジャーナリストで作家の手嶋龍一さんのお二人が、この本を紹介されていたのが購読…

至れり尽くせりの入門書

『モンテーニュ入門講義』(山上浩嗣著:ちくま学芸文庫)を読了しました。 モンテーニュに関しては、岩波新書『モンテーニュ 人生を旅するための7章』を以前に読んだことがありましたが、入門書としては、本書の方が格段に分かりやすかったと思います。 本…

「多くの人の一人」になる

町立図書館で借りてきた『天声人語の七年~750字で考えた日々』(白井健策著:河出書房新社)を読了しました。 本書は、1988年8月16日から1995年8月15日まで、朝日新聞一面コラム「天声人語」の執筆を担当した著者が、その「天声人語」とと…

魅力的な文体は変わらず

全国チェーンの古本屋で買った、『命売ります』(三島由紀夫著:ちくま文庫)を読了しました。 書棚にあった本書の題名にひかれ、なんとなく手が伸びて買ったのですが、正直、三島由紀夫にこのようなエンタメ系の小説があったことは、まったく知りませんでし…

これも一つのゲン担ぎ?

『そして父になる【映画ノベライズ】 』(是枝裕和、佐野晶 著:宝島社文庫)を読了しました。とても面白い本だったので、少し夜更かしをして、一気に読んでしまいました。 本書は【映画ノベライズ】ということなのですが、実は私は、映画そのものは観ていま…

思わぬ掘り出し物

今日は午前中、菩提寺の寺費の集金のため、ご近所の檀家を訪問しました。事前に集金予告の文書を配布していたため、スムーズに事が運びました。これで今年の世話役の仕事がほぼ終わりました。再来年は、町内会の組長の役割が回ってきます。 さて、『本の読み…

貴重な敗者の記録

町立図書館で借りてきた『WHAT HAPPENED 何が起きたのか?』(ヒラリー・ロダム・クリントン著、髙山祥子訳:光文社)を読了しました。本書は、2016年の米国大統領選挙において、民主党の大統領候補となった著者が、「何を考え、何を感じていたか」につ…

「矜持」を感じさせる一冊

朝目が覚めると雨が降っていました。久しぶりの雨で、草木にとっては恵みの雨になったように思います‥。 さて、『文にあたる』(牟田都子著:亜紀書房)を読了しました。10月9日の朝日新聞一面コラム「折々のことば」で、校正者である牟田さんの「ことば…

「宇宙船地球号」はどこへ行く?

『危機と人類・(上)(下)』(ジャレド・ダイアモンド著:日本経済新聞出版社)を読了しました。 本書では、「国家的危機の帰結に影響を与える12の要因」を、次のとおり仮定しています。1自国が危機にあるという世論の合意 2行動を起こすことへの国家…