しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

危機・先人に学ぶ

国際基督教大学八代尚宏客員教授
日経新聞の「やさしい経済学」で連載されていた
「危機・先人に学ぶ ハイエク」は、今日が八回目で最終日でした。
経済学は全くの素人である私にも、なんとか理解できる内容だったと思います。

八代先生の解説の主なものは次のとおりです。

・管理通貨制度を否定する、彼の思想を「自由放任主義」と見なすのは誤りであり、
 むしろ「社会改革」を進める場として、市場の規律の活用を説いている。
・「市場は現在も将来も理想の状態と比較すれば不完全だが、
 競争のない世界よりも優れている」というハイエクの主張は、
 チャーチルの民主主義に対する有名な表現をほうふつさせる。
・市場競争が正しい情報をもたらす実物市場のメカニズムは、
 政府が十分な情報なしに貨幣供給を独占している金融市場では成り立ちにくい。
ハイエクは、既得権を守る労働組合やそれを支える労働法制などによる
 労働市場の硬直性が、市場を通じた所得格差の縮小を妨げる
 大きな障害であると指摘した。
ハイエクは、福祉国家の拡大が世代間格差を広げることを指摘していた。
 「一定年齢を超える人の所得源が政治的に定められる年金で、
 将来の世代に対して彼らが進んで負担しようとする以上の負担を
 負わせることになる」
ハイエクは政府の役割を決して軽視しておらず、「法による支配」を強調した。
 これは「政府の活動は、明確に決定され、公表されているルールに制約される」
 ことであり、その範囲内で個人の自由な意思決定が可能となるためである。
 この対極にあるのが「人による支配」であり、社会保障給付は増やす一方で
 負担増は避けるボビュリズムに陥りやすい。後の世代に負担を付け回すような
 政府の恣意的な行動を、ハイエクは強く批判した。

「隷属への道」を著し、ノーベル経済学賞に輝いたハイエクは、
新自由主義」の旗手といわれているそうです。
このハイエクの考え方を実行した「小泉構造改革」に対しては今も根強い批判があります。
八代先生が言われるように
今日の混迷する世界や日本の経済社会を考える上で、
依然、大きな価値を持っているハイエクの思想〜「新自由主義」〜は、
果たして復権するのでしょうか?