しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

Divided We Stand(拡大する所得格差)

OECD東京センターが「拡大する所得格差」という報告書を発表しています。
報告書(日本語資料)は、次の文章で始まり、ジニ係数を用いたグラフも掲載しています。

『日本の生産年齢人口の所得格差はOECD平均よりやや大きい。
日本の生産年齢人口の所得格差は、
OECDと足並みを揃えて1980年代半ば〜2000年に拡大した。
2000年に最大となり、その後縮小したものの、2003年以降再び拡大に転じている。
2008年の日本の上位10%の平均所得は754万円で、
下位10%の平均所得(75万円)の10倍であった。
これは1990年代半ばの8倍、1985年の7倍よりも大きい。』

ジニ係数といえば、
橘木俊詔教授と大竹文雄教授の間で行われた橘木・大竹論争が有名です。
ウィキペディアによると、
『橘木が、ジニ係数を用いた分析によって、
日本においては世帯単位の所得格差、貧富の格差が増大しており
「一億総中流社会」は崩れていると論じたのに対して、
大竹は、ジニ係数の上昇は、もっぱら人口構成の変化(高齢化、単身者世帯の増加)による
見かけの上の現象によるところが大きく、
このデータだけでは貧富の格差が拡大していると結論づけることはできない、と論じた。』
と解説されています。

また、この報告書(日本語資料)では、
OECD諸国向けの主な政策戦略として次の5点を指摘しています。
・最も効果のある格差解消策は就労である。
・人的資本に投資することが鍵である。
これは幼年期に始まり、義務教育を通じて持続される必要がある。
・租税と社会保障制度改革は所得再配分の効果を高めるもっとも直接的な手段である。
・所得に占める最富裕層の割合の増加は、
この集団が現在、より大きな租税能力を持っていることを意味している。
・教育、医療、介護など、誰でも利用できる質の高い公共サービスの提供が重要である。

野田総理の第178国会での所信表明演説ではありませんが、
分厚い中間層の復活とそれを支える社会保障制度の充実が、
経済発展と社会の安定の礎となるのは真実だと思います。
「希望」と「誇り」がある日本社会は、次世代に引き継げるのでしょうか?