「向老世代」の続きです。
社会に蔓延する高齢者に対する固定的な考え方・態度を
エイジズムというそうですが、
『こうした年齢差別・偏見を超えていく過程で、
別のかたちの思い込み、エイジズムが生じており、
それは、自立・自己決定を重んじる社会の中で、
向老期にある世代のもつ特徴ともあいまって増幅されている。』として、
レポートの著者は、次の三点を課題として指摘されています。
1 「多様性」の曖昧さ
・「画一的でない老いのすがた:多様性」への理解は一面的であり、
老いのトータルな変化を受容し、それを受け止める仕組みの構築には
至っていない。
2 老いの過程が繋がっていない
・元気な時と他の助けが必要になった時とが繋がっていないまま、
一貫性のないメッセージによって翻弄されている。
3 マクロとミクロの混乱
・家族的な状況に限定せず社会全体を見渡せば、
高齢者が街にあふれ、高齢者の参画なしには地域活動などが成り立たない
といった現実であるにもかかわらず、
世代間交流が少ないと多くの人が考えているのはなぜか、
そこに世代間の関わりを妨げる社会的要因があるはずであり、
そこを問題としていかなければならない。
そして、著者はレポートの最後を「向老世代の老年学」と題し、
次のように述べられています。
『長寿化した親の老いをロールモデルとして、
意識的に自らの老いを準備してきた初めての世代であるがゆえに、
これまでの高齢者イメージを一新し、
新しい高齢社会のライフスタイルを先導する人としての期待が高い。』
なんだか向老世代の一員としてはくすぐったい気持ちになりますが、
この日記のタイトルを「しんちゃんの老いじたく日記」としているように、
日一日と確実に老いていく実父を身近にみながら、
私自身も一歩一歩着実に「老いじたく」をしていきたいと思います。