昨日から、日経新聞経済教室では「人口動態が迫る政策」が掲載されています。
今日は、小峰隆夫法政大学教授の「負の影響克服、日本が範を」でした。
小峰教授は、
日本は人口動態変化の負の影響が世界一であり、
世代格差や若年世代の雇用機会格差など
機会不平等による格差こそ最も是正が必要であると主張されています。
世代間格差の是正策と、とるべき基本方向については、
次のように端的にわかりやすぐ説明されています。
『世代間格差を是正するにはどうすべきか。
世代間格差が生じる基本的な原因は
①巨額の財政赤字が将来世代の負担になっている。
②賦課方式の社会保障制度が維持されている。
③若年層に雇用調整のしわ寄せがもたらされやすい長期雇用制度を維持している。
‥‥ことの3点である。
だとすれば、とるべき基本方向は明らかだ。
まずは消費税引き上げと社会保障給付の適正化で財政再建を進める。
次に、引退世代の給付を削減する方向での社会保障制度改革を進めて、
長期的にはできるだけ積み立て方式に近い制度に移行する。
そして、企業間・世代間での労働力移動を流動化し、弾力的な雇用制度を構築していくことである。』
やるべきことが分かっているのに、どうして前に向いて進まないのでしょうか?
この疑問に対する小峰教授の答も明快です。
『政治が待ったを繰り返すのは、
前述の対応がいずれも高齢者や既存の正社員に痛みを強いるような提案となるからだ。
つまり、問題は解決策が分からないことではなく、
国民に負担を強いる選択を示せないでいる政治にある。
国民はどうしても当面の負担を避けたがる。
これが民意として政治家に吸収されることが負担の先送りを招き、
世代間格差を拡大させ続ける。この悪循環を避けることが、現世代に課せられた最大の課題だ。』
小峰教授自身は、
民意や政治を政策的意思決定に持ち込まないようにする
「マイナスの政治主導」〜具体的には経済審議会の復活など〜を
「第三の道」として提案されていますが、この件については若干迫力不足のような気がします。
やはり私は、「第一の道」、
「国民に正しい情報を提供し、民意を変えていくこと。」が、
たとえ困難であっても民主主義の王道ではないかと思います。
なお、小峰教授の著書には、「人口負荷社会」という良書があります。
一読をお薦めします。
- 作者: 小峰隆夫
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2010/06/09
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