「常識としての保守主義」(櫻田淳著:新潮新書)を読了しました。
いつも「雪斎の随想録」や産経新聞の「正論」で、雪斎先生の論評を目にしているのですが、
こうして体系的に「保守主義」についての著作を読むのはもちろん初めてのことです。
とにかく素晴らしい本で、これからいつも手元に置いて参照しようと思っています。
今日は、著書の中の「保守主義とはなにか」と「保守主義の条件」の章から
「珠玉の言葉」をいくつか御紹介したいと思います。
興味のある方は、是非一読をお薦めします。
・保守主義の思想の核にあるのは、人間の「理性」への懐疑である。
保守主義において慣習や伝統といったものの意義が強調されるのは、
そうした懐疑の認識と軌を一にしている。
一人の天才が自らの「理性」によって披露した見解や構想よりは、
大勢の人々が多年に渉って尊重してきた慣習や伝統の方が遥かに信頼を寄せるに値する。
それが、保守主義の姿勢である。
・保守主義思想においては、「より佳き社会」とは、
様々な人々による多彩な「試行錯誤」の一応の所産と理解される。
様々な人々の「試行錯誤」の過程で幾多の「経験」や「智恵」が蓄積され、
その「経験」や「智恵」に基づいてこそ
「より佳き社会」の内実に関する合意も次第に出来上がっていくというのが、
保守主義の想定である。
・政治は、多様な人々を相手にする営みである以上、
その結果は、万人が納得する完全なものではあり得ない。
しかしながら、保守主義の政治において要請されるのは、
政治上の対応における「完全」は期し得ないという一種の「諦念」を抱きつつも、
社会矛盾の克服に向けて地道に努力を続けるという姿勢である。
・天皇が日本における国民「統合」の象徴であることの意味は、
この千数百年の歳月の歩みの中で培われている。
日本の保守主義思潮に拠る政治の存在意義とは、
天皇の尊重を通じて、この千数百年の歳月の重みを咀嚼していく姿勢に現れる。
この続きは、また明日‥‥。
- 作者: 櫻田淳
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/01
- メディア: 単行本
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