しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

地方自治の沿革

以前、この日記で紹介した
山縣有朋の挫折〜誰がための地方自治改革」(松元崇著:日本経済新聞出版社)を
やっとのことで読了しました。

本のタイトルからは、山縣有朋の生涯を描いた「伝記本」を想像しましたが、
実際の内容は「地方自治の沿革」、
正確に言えば、「旧地方自治制度の沿革」について書かれた「専門書」でした。

地方自治に関する一般の解説書は、
明治維新から先の大戦までの地方自治の沿革については、ごく簡単に記述されていますが、
この本は山縣有朋という人物を中心題材に、
かなり詳細に旧地方自治制度の沿革について書かれています。
脚注の解説も半端ではなく、著者の気迫に圧倒されてしまいました。

実は、私自身も恥ずかしながら、勤務先の研修機関などで、
地方自治法の講師を務めた経験がありますが、
講義の内容は、あくまで戦後の現行地方自治制度の解説が主で、
明治維新以降の地方自治の沿革については、ほとんど触れたことはありませんでした。

というより、
私に地方自治の沿革について触れるだけの知識がなかったのが本当のところです。
そういう意味で、この本を読んで、
地方自治改革に係る先人の「偉大な苦労」が少しでも理解できたような気がしています。

ご案内のとおり、
この本の著者である松元崇氏は、現在は内閣府事務次官をされており、
元々は大蔵省主計局に長く勤務されていた方です。
霞ヶ関の省庁の中でもとりわけ激務な勤務環境にあって、
よくぞこれだけの力作を書かれたものだと改めて感嘆してしまいます。
「官僚」の作品というより、これは「学者」の作品だと思いました。

著者には、時間管理やスケジュール管理、あるいは社会人の勉強法といった
ハウツー本を執筆していただくと有難いと思っているのは、私だけでしょうか?

いずれにしても、
本書は、「地方自治とは何か」を歴史を遡りながら考えさせられる良書であり、
改めて一読をお薦めします。