しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

単純な選択者

今日の日経新聞「経済教室」は、
池田新介大阪大学教授の『「自滅選択」回避へ政策余地』でした。

池田教授は、記事の冒頭で次のように述べられています。
『借金を重ねてモノを買う、たばこをやめられない、食べすぎる。
 長い目でみれば自分の利益にならないこうした自滅的な選択の多くが、
 「双曲割引」とか「現在バイアス(偏り)」と呼ばれる
 選択上のバイアスと関連していることが行動経済学によって解明されている。
 双曲割引とは、間近の選択ほど、その時々の利益を優先して、
 よりせっかちな選択をする傾向をいう。
 双曲的な人は、立派な蓄積や摂生の計画を立てても、実行に移す段階になると、
 それを先延ばしにして現在志向的な行動をとりたくなる。
 それが自滅的な選択につながる。
 ただ、先延ばしの誘惑を感じても、負けずに前に立てた計画を実行する人もいる。
 面倒な仕事を持ち越しても、いずれはまた同じ窮状に陥ることを知っているからだ。
 経済学では、将来の衝動的な自分を正確に自覚している主体を
 「賢明(ソフィスティケイテッド、スマート)」な意思決定者、
 自覚しない人を「単純(ナイーブ)」な選択者という。』

私事になりますが、
平成22年の8月末に、煙草を止めてから、今月末で1年と7ヶ月になります。
このことをもって、私が「賢明な意志決定者」であることを自慢しているわけではありません。
今でも、飲み会になると、ついつい煙草に手が出てしまいます。
夜にお酒が入らなければ、昼間は煙草を吸いたいとも思わないのですが‥‥。

そうなんです。私は「エセ禁煙者」なのです。
こうした事実だけでなく、その他の行動を振り返っても
私は行動経済学でいうところの「単純な選択者」だと自覚しています。

池田教授によると、
『「単純」な人にコミットメント手段や情報を提供しても選択は改善されない。
 彼らの行動を改善し厚生を高めるには、何らかの介入が必要だ。
 行動経済学では、選択の自由を許しながら、
 選択の枠組みを変えるだけで良い方向に誘導する
 「リバタリアンパターナリズム」が提案されている。』

その一方で池田教授は、
『行動バイアスを逆手にとって人々の選択を誘導する技術自体は、
 使いようによっては他人から私的な利益をかすめ取る方法にもなる。
 おそらく市場のプレーヤーたちは
 以前から消費者の選択バイアスを利用する智恵を持っている。』

う〜ん、なにがなんだか分からなくなりました。
果たして、行動経済学の活用で良い選択への誘導は実現可能なのでしょうか?
人間ほど摩訶不思議な行動をとる動物はこの世にいないと思うのですが‥‥。