しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

豊かな日本と貧困

今日の日経新聞の「今を読み解く」は、
国立社会保障・人口問題研究所、阿部彩さんの「急増する生活保護受給者」でした。

記事の要点を、備忘録として残したいと思います。
生活保護の受給者が今年1月、約209万人を超え、過去最多を更新し続けている。
 これに呼応するように、生活保護に関する報道が増加している。
 受給率の上昇を懸念する一方で、
 中には、生活保護費の不正受給や、働けるのに働かないで生活保護を受給するという
 モラルハザードを大きな問題として取り上げている報道もある。
 しかし、これらは生活保護の背景にある貧困問題のほんの一部を語っているにすぎない。
 〜(中略)〜
 例えば、諸外国では、公的年金で高齢者の最低生活が保障されているので、
 そもそも高齢者が公的扶助の対象とならない国もあるが、
 日本の生活保護の受給者は、半分が60歳以上の高齢者である。
 また、生活保護費の約半分が医療費であり、その多くが精神関連の入院費である。
 地域に精神障害をもった人が暮らせる受け皿が用意されていれば、
 生活保護費は大きく削減できる。
 すなわち、公的年金精神障害者への制度の不備が、
 「つけ」として生活保護に回ってきているのである。』

生活保護の問題を考える時に必要なのは、
『受給者の1%にも満たない不正受給に一喜一憂するのではなく、
 いかに国民の最低生活を保障するかの議論である。
 そのためには、生活保護の手前の制度をいかに充実させるかの議論が必要なのである。』
という著者の主張には迫力があります。

この記事を読むと、
政府が各個人に対して、それぞれが生活に最低限必要な現金を
無条件に給付する仕組みである「ベーシックインカム」を導入してはどうか、
という考え方が生まれてくるのも不思議ではありません。

人口減少、少子高齢化社会において、次々と私達に選択を迫る重い課題の数々。
その課題の背景をよく見極める必要があることに気づかせてくれた記事でした。