日本銀行の白川総裁が、
5月30日に国際会議で挨拶された内容が、日銀HPにUPされています。
挨拶のタイトルは、「人口動態の変化とマクロ経済パフォーマンス」です。
毎回のことですが、白川総裁の講演や挨拶はとても分かりやすくて勉強になります。
今回の挨拶では、
日本の人口動態とマクロ経済のパフォーマンスの問題を考える上で、
白川総裁ご自身が重要と考えられる事実を4点指摘されていますが、
そのなかで、特に私が気になったのは次の事実です。
以下、引用させていただくと、
『人口動態の変化に関する事実への認識の遅れに加え、
そうした事実の持つ意味の認識はさらに遅れました。
その結果、予想される人口動態の変化に対処した措置が採用されるには
さらに時間がかかりました。
これが人口動態の変化に関して私が指摘したい第4の事実です。』
これだけではなんのことか分かりませんので、
さらにその前の第3の事実を引用させていただくと、
『第3は、興味深いことに、
出生率の低下はかなり長い期間にわたって一時的な現象とみられ、
通常5年おきに再計算される公的機関によるわが国の出生率予測は
公的年金等の設計の基礎データとなりますが、
事後的には1976年以降、ほぼ一貫して過大推計となっていたという事実です。
実際、出生率が2を大幅に下回るという前提が置かれたのは
1992年の推計が初めてで、
それまでは、出生率は長期的には2に復帰していくという前提が常に置かれていました。』
う〜ん、要するに、「静かな有事」が進行していることに
誰も気づかなかったということですよね。
過大推計であった公的年金等が、厳しい財政状況になるのは当然の帰結かもしれません。
ただ、あきらめてはいけません。
白川総裁も
『人口動態の変化が引き起こしている問題を正確に認識し、
そうした事態を変える必要があると社会が判断するのであれば、
対応策はあるということを強調したい。』と述べられています。
考えられる対応の方向性については、挨拶の原文を是非お読みください。
経済学はもともと人口問題を研究対象にしていたんですね‥‥納得しました。