しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

あなたにしかできないこと

内線のシリアで非業の死を遂げた、ジャーナリストの山本美香さんが、
今年5月に早稲田大学で講義後、学生に配ったメッセージ文の要旨が、
今日の日経新聞「社会面」に掲載されています。
メッセージを何回読み返しても、その度、胸を打つものがあります。

『「仕方がないこと」「直接関係がないこと」と排除してしまうのでは、
 ジャーナリズムの役目を果たしているとはいえません。
 そうした広がりのない視点と態度は、形を変えながら私たち自身に返ってきます。
 目が届きにくい、忘れられがちな問題を掘り起こしていくことも
 メディアの責務としてあります。
 社会にはさまざまな考え、職業、立場の人たちがいます。
 メディアの世界に身を置くと、力を持っていると勘違いしてしまうことがあります。
 高みから物事を見るのではなく、思いやりのある、優しい人になってください。』

このメッセージ中、「ジャーナリスト」という言葉を、
例えば「公務員」という言葉、あるいはその他の言葉に置き換えて読んでみると、
まるで、私たち一人ひとりへのメッセージのように思えてくるのです。

そして、記事では、
山本さんの「あなたにしかできないことがある」という言葉に背中を押され、
国際問題を取材するジャーナリストを志望する学生がいることも紹介しています。

この「あなたにしかできないことがある」という言葉は、
私が今読んでいるNHKテレビテキスト
夜と霧」の著者、フランクルの思想エッセンス(ロゴセラピー)に通じるものがあります。
『どんな時にも、人生には、意味がある。
 なすべきこと、満たすべき意味が与えられている。
 この人生のどこかに、あなたを必要とする「何か」がある。
 あなたを必要とする「誰か」がいる。
 そしてその「何か」や「誰か」は、
 あなたに発見され、実現されるのを「待って」いる。
 「何か」があなたを待っている。
 「誰か」があなたを待っている。
 私たちは、常にこの「何か」「誰か」によって必要とされ「待たれている」存在なのだ。』

「戦地で犠牲になっている市民に寄り添う姿勢を持った類いまれなジャーナリスト」だった
と言われている、山本さんのご冥福を心からお祈りします。
それと同時に、山本さんの熱い思いや体験に触れ、
ジャーナリズムの世界を目指す、母校の後輩たちの今後の活躍を期待したいと思います。

私も…「志」だけは失わずに、残りの人生を生きたいです…。

フランクル『夜と霧』 2012年8月 (100分 de 名著)

フランクル『夜と霧』 2012年8月 (100分 de 名著)