しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

民意を反映する難しさ(その2)

昨日の続きです。

政府が「2030年代に原子力発電所の稼働をゼロにする」目標を盛り込んだ
エネルギー・環境戦略の閣議決定を見送り、
「不断の検証と見直しを行いながら遂行する」との方針だけを決めたことに関し、
全国紙は、昨日から今日にかけての社説で、こぞってその対応を批判しています。

順不同で社説の見出しをご紹介すると、次のとおりです。
 ・朝日 → 「脱原発政策 うやむやにするのか」
 ・毎日 → 「原発ゼロ政策 政府の覚悟がみえない」
 ・読売 → 「「戦略」の練り直しが不可欠だ」
 ・日経 → 「思慮の浅さが招いた「原発ゼロ」目標の迷走」
 ・産経 → 「首相は破綻認めて出直せ」

ところで、政府のエネルギー・環境戦略に関して、
中村時広愛媛県知事は、「現実的でない」として、
 ・代替エネルギーの確保
 ・廃炉技術の確立
 ・使用済み燃料の最終処分方法 の三つの問題を解決して、
初めて脱原発が可能になると主張されています。
原発に関連する中村知事の主張は一貫しており、かつ、説得力があります。

中村知事が、いろいろな会議でよく発言されるのが、脱原発を決定したドイツとの違いです。
以前、評論家の木元教子さんも、
産経新聞の「正論」で、次のように論評されていましたが、
最初にこの記事を読んだときは、「中村知事が発言しているでは」と錯覚したほどでした。

『自国のエネルギー需要を、十分に賄うだけのエネルギー資源は、日本にはない。
 しかも、島国だ。
 ドイツのように、2022年までには、
 「脱原子力政策を実施し、原子力発電は止めることにする」というわけにはいかない。
 ヨーロッパ大陸に存在するドイツは、
 北はノルウェースウェーデンから、南はスペイン、ポルトガルまで、
 網の目のように送電線が繋がっている。
 自国の電力が足りなくなれば、「電力の輸出入」を、
 フランスを中心にして行うことができる。
 島国日本は、電力が不足しても他国と電力の輸出入ができる送電線は存在しない。』

代替エネルギーの確保を含め、エネルギー政策は国の命運を左右する「国策」です。
「民意」を政策や戦略に反映させるのは大切ですが、
その際には、「付帯条件を明示」することも忘れないでほしいものです。