しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「標準家族」の崩壊

パラサイト・シングル」の名付け親である山田昌弘中央大学教授の論評が、
11月7日付けの日経新聞「経済教室」に掲載されていました。

日本の人口減少の姿について、山田先生は次のように説明されています。
『国立社会保障・人口問題研究所の予測では、
 今の若者(35歳未満)の4人に1人は、生涯未婚と推計されている。
 2010年の時点で、50歳男性の未婚率は既に20%を超えている。
 そして、結婚しても3分の1は離婚に終わる(11年には結婚約66万組に対し、離婚約24万組)。
 おおざっぱにいって、結婚して離婚せず子どもを育て老後を迎える者、
 つまり、これから標準家族を形成・維持できる若者は4割程度と推計できる。
 さらにその中で、夫が正社員で安定した経済基盤を持つ家族は一層少なくなる。
 そして今後、標準家族を形成・維持できなかった人々が年を取り、
 徐々に中高年に突入するというのが、日本の人口減少社会の姿である。』

おおむね30代までに結婚し、夫が安定雇用に就き、定年まで勤め、子どもを育て、
離婚せずに老後を送るというパターンを「標準家族」と説明されていますが、
若者の4割程度しかその標準家族を形成・維持できないというのは、看過できない事実です。

そして、山田先生が問題視されているのが、
経済状況が良くなく、親の年金に支えられて暮らしている
中年(35〜44歳)の親同居未婚者というグループが、今急速に増大しているという事実です。

山田先生は、今は中年の親同居未婚者が社会問題になることは少ないけれども、
20〜30年後、両親が亡くなったときに、問題は顕在化するとして、次のように述べられます。
『将来、子どもを持たずに高齢に達する人が3割から4割に達したときに、
 どのような社会になるのだろうか。
 きょうだいも少なく、頼る親戚もいない、
 経済基盤もない孤立した高齢者が町にあふれる可能性が高い。
 いずれは家族格差が顕在化するのである。』

う〜ん、とても他人事とは思えません。深刻な事態だと思います。
では、山田先生の次の宿題に対しては、私たちは答を用意できるのでしょうか?
課題先進国日本の力量が試されているような気がしてなりません。

『今の社会保障社会福祉制度、雇用慣行などは
 「標準家族」をつくれることを前提に構築されている。
 しかし今後、標準家族を形成・維持できる人は少数派に転じる。
 親同居未婚者の雇用対策はもちろん、
 引きこもりがちな彼らを地域に関わるように仕向ける施策が必要だろう。
 標準家族から外れても、
 安心して老後を迎えられるシステムの構築を早急に進める必要がある。』

翻って私は、安心した老後を迎えることができるのでしょうか?
ちょっと、いや…大変心配です。