しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

人生の寄り道

先月21日(火)に放映された、NHK「クローズアップ現代」を観ました。
放送テーマは、「人生に寄り道を〜今注目の“ギャップイヤー”〜」でした。

「ギャップイヤー」とは、「隙間の時間」のことで、
通常のレールから外れ、長期間、ボランティアや職業体験などの経験を積むという、
いわば「人生の寄り道」である、そのように番組では説明されていました。

番組のなかで一番印象に残ったのは、
ゲストの秦由美子さん(広島大学高等教育研究開発センター教授)が持ちだされた、
イギリス人が例に出す、次のようなお話です。イギリスはギャップイヤー発生の地だとか…。

『親が支援して中国の孤児院に行って、中国の孤児に英語を教えるAさんと、
 自分でお金をコツコツためながら、タイのビーチでのんびり過ごすBさんの例と、
 どちらがイギリス人の意味するところのギャップイヤーの精神なのか?』

その答は、ビーチでゆっくり寝そべるBさん。
それはどういうことかというと、
『1から10まで用意されたパッケージ化されたツアーに参加するのではなく、
 自分がみずからの力で計画し、様々なことを乗り越えて帰ってくる。
 そのことのほうが意味がある。
 海岸で何もしないというと、日本人から見れば、消極的と思うかもしれないが、
 つまりそれが「ゆとり」であり、振り返る時間になっている。』

う〜ん、なるほど。ギャップイヤーには、そういう含意があるのですね。
そのほか番組では、インドネシアボルネオ島島根県の過疎化が進む町で、
困難に果敢に立ち向かう若者の姿が紹介されていました。
彼らの姿を見ていると、こちらも元気が出てくるような気がしました。

そして、先ほどのゲストの秦さんの次の言葉が、
日本という国に対する、とても強いメッセージに聞こえました。

『今までは知識や技能を習得して、
 それを反復強化していくだけの教育にとどまっていたが、
 それが自己の中で消化される、その振り返りの時間として、
 ギャップイヤーが利用されて、
 そしてそれが社会も長い目で見守ってくれるという形、
 その長い目で見守るためには、国としての懐の深さというものも重要になってくる。』

確かに、これまでの日本は、
「遠回りを許さない社会」であったように思います。
でもこれからは、「人生の寄り道を評価」する、そんな度量がある国になってほしいです。

その際、問題になるのは、資金の手当てではないでしょうか?
若者がアルバイトでお金を稼ぐのにも限界があります。
給付型の奨学金を充実するとか、
長期的な視点で若者を支援する仕組をなんとか創りたいものです。

なお、蛇足ですが、
NHK「クローズアップ現代」は、
バックナンバーをテキスト形式で読むことができます。
私の場合は、番組を録画しておいて、休みの日にまとめて観るようにしていますが、
テキスト形式で番組を振り返ることができるのは、とても有難いことです。
今日のこの日記にも、随分引用させていただきました。

これなら、NHKの受信料も決して高くはありません。
これからも質の高い番組を楽しみにしています。