しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

解明も途上、理解も途上

今月17日(月)の日経新聞「経済教室」は、
林慶一郎・慶応大学教授の「長期デフレ 解明は途上」でした。
論考の内容は難しくて、私の能力を超えていましたが、
いつかは理解できる日が来るかもしれないので、メモをこの日記に残しておきます。

小林教授によれば、
クルーグマン教授の論文など、既存の理論では、
10年以上にわたる日本の長期デフレは説明しきれないと述べられています。

では、長期デフレが生じる原因は何かというと、
名目金利、実質金利、期待(予想)インフレ率の関係から
市場の金利を説明するフィッシャー関係式から考えると、
『名目金利をゼロにする政策が長く続くと予想されると、
 将来のインフレ予想率もマイナスになり、実際にデフレが続く。』
という結論が、どうやら導かれるみたいです。

ただ、この理屈は従来のデフレ期待説と同じ、
「貨幣供給量が減るならデフレ期待は続くが、
増える中でなぜデフレ期待が維持できるのか」という問題に直面するとのこと。

そこで、小林教授は、
中央銀行の金融政策ではなく、
政府の財政運営についての予想がポイントであると指摘されています。

貨幣の実態は国債と同じ「政府の債務」にほかならず、
多くの人が「貨幣価値を増大させるゼロ金利政策が続いても、
当面は問題が起きないよう財政運営が適切に行われる」と考えるなら、
実は将来の増税を予想しているのと同じである。

この現象は、金融政策のツケが財政に回るというメカニズムで、
財政不安から生じる増税予想とは異なるけれども、
財政への信頼が崩壊すれば理論的には急激なインフレが起きる。

う〜ん、参ったな…。ここのところが、私にはさっぱり理解できないのです。
財政運営への楽観があると無意識の増税予想が生まれることについては、
なんとなく理解できますが、
それがどうして長期の物価下落を裏付け、予想インフレ率のマイナスにつながるのか??

また、「ゼロ金利政策の長期化自体がデフレにつながっているとしたら、
どのような政策合意が引き出せるのか」という問いに対しては、
『「将来は名目金利が適度なプラスになる」と
 人々が確信できるようにすることが求められている。』
このように小林教授は「答え」を用意されています。

なんだか私には、禅問答のような気がしてきました。
デフレの解明も「途上」かもしれませんが、私の理解も「途上」です。