しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

残された時間は?

消費税増税議論の続きです。

昨日(2日)からは、日経新聞「経済教室」で「消費税増税の論点」の連載が始まりました。
初回は、小黒一正・法政大学准教授の『「成長率低下」とは限らない』でした。

この論考を読んで、勉強になったことが二つあります。
その一つ目は、
消費税のみを特殊扱いし、その負担増を強調するのは理論的整合性に欠けること。

小黒教授によれば、
減税廃止・税控除縮小や社会保険料引き上げも増税の一種であって、
『06〜07年には、
 89年に導入した定率減税所得税と住民税)を縮減・廃止(負担増3.4兆円)したが、
 その当時、景気腰折れや税収減の懸念は強くなかった。
 また、04年の年金改革などで、同年から17年まで社会保険料が引き上げられ
 (負担増は毎年0.4兆円で合計5.6兆円)、実質的な給付削減が決まったが、
 その影響に対する懸念も少ない。』と指摘されています。

う〜ん、なるほど。
確かに、社会保険料(地方公務員の場合は共済長期掛金)は毎年少しずつ上がっていますが、
給料から天引きされているので負担の実感があまりないせいか、議論されることもありません。

二つ目は、
現在が97年の増税判断の時期と最も異なる点は、「残された時間」が少ないこと。

この点についても、小黒教授は、次のように問題点を指摘されています。
『現在の増税議論では、税率の引き上げ方法に議論が終始しているが、
 増税が遅れれば財政的に同じ効果をもつ税率引き上げ幅は5%より大きくなるという視点や、
 財政安定に必要な最終的な税率をどの範囲にとどめるかといった視点が欠如している。』

この記述に関しては、
多くの有識者が、増税を先送りすれば、社会保障関係経費の増嵩によって、
日本の財政が限界に達する可能性に触れているのでは…と認識しています。

そもそも、消費税増税は、
昨日の産経新聞「正論」で、「かんべえさん」が論評されているように、
『「社会保障と税の一体改革」を実現するためには、
 まず財政再建を図らなければならず、そのためには増税が避けられない。』
そのような理由から国会で決定された事実を、思い起こす必要があります。

「思い起こす」といっても、実は、まだ1年しか経っていないんですけど…。

話は変わりますが、
今日は涼しいを通り越して……寒かったです。
秋を素通りして、いきなり冬が来そうな予感がします。