しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

日本語の誤用とは

『新編 日本語誤用・慣用小辞典』(国広哲弥著:講談社現代新書)を読了しました。

この本を読んで、
自分が、どれほど日本語を誤って使用していたかを知り、愕然としました。
無知とは恐ろしいというか…、いや、恥ずかしいというか…。
例えば、次のような表現です。

 ・「いやが応にも」→「弥が上にも」と「否が応でも」の混交
 ・「汚名挽回」→正しくは、「汚名を返上」又は「汚名をそそぐ」
 ・「一瞬先は闇」→正しくは、「一寸先は闇」
 ・「上へ下への大騒ぎ」→正しくは、「上を下への大騒ぎ」
 ・「口先三寸」→「口先だけ」と「舌先三寸」の混交
 ・「知ってか知らすが」→正しくは、「知ってか知らでか」
 ・「体調をこわす」→「体調を崩す」と「体をこわす」の混交

著者によると、これらは混合表現といって、
「似たような意味の言い方が二通りある場合、
意味が似ているとか、表現の一部が共通であるがゆえに途中でまじり合ってしまい、
表面的には奇妙な意味の表現になってしまう現象を言う。」そうです。

次は漢字の誤読の例で、私も間違って読んでいたように思います。

 ・「一矢を報いる」→ (正)いっしをむくいる (誤)いちやをむくいる
 ・「入水」→ (正)じゅすい (誤)にゅうすい
 ・「十に一つ」→ (正)とおにひとつ (誤)じゅうにひとつ
 ・「女犯」→ (正)にょぼん (誤)じょはん
 ・「物見遊山」→ (正)ものみゆさん (誤)ものみゆうざん
 ・「幕間」→ (正)まくあい (誤)まくま
 ・「一段落」→ (正)いちだんらく (誤)ひとだんらく
 ・「他人事」→ (正)ひとごと (誤)たにんごと

さて、誤用には大きく分けて二つの種類があると著者は説明されています。

一つは単発的な「個人的誤用」であって、
個人の言語学習が不十分であるのが原因といわれるもの。
私のようなケースもこれに該当するのでしょうね…。

もう一つのタイプの誤用は、かなり広く行き渡ってしまったもので、
そのことに一般の人が気づいた段階では、「誤用である」と言って騒いでみても、
もう後に戻すことができないのが普通であるもの。

日本語は難しくて、しかも奥が深い言語であることを実感できる本です。

新編 日本語誤用・慣用小辞典 (講談社現代新書)

新編 日本語誤用・慣用小辞典 (講談社現代新書)