昨日(14日)の日経新聞「大機小機」は、『経常赤字は悪いのか』というコラムでした。
コラムは、今年1月の経常収支が4カ月連続の赤字になったことで、
経済論壇では、にわかに懸念が高まっているととしたうえで、
その懸念は、主に次の3つの点に分類できると説明しています。
第1に、赤字そのものが悪いという考え方
第2に、経常収支の赤字の主因である貿易収支の悪化は
日本の国際競争力の低下を表しているというもの
第3に、経常収支の悪化と関連づけて財政赤字の問題や燃料の輸入増加を指摘するもの
「赤字」という言葉は、家計はもちろんのこと、
地方自治体においても日常的に使用しています。
例えば、決算における実質収支が黒字か赤字かというように…。
ですから、あまり良いイメージを持たれない言葉なのかもしれません。
私の場合は、上記の第1と第2の懸念を持つことはなかったのですが、
第3の懸念は、いつも漠然としてありました。
国内の原発が運転を停止している結果、
燃料輸入が増加して貿易収支が赤字になるのは理解できるけれども、
その状態がいつまで持続可能なのか、
日本の財政や家計に与える影響なないのか、双子の赤字になるのではないか、
そういったことを心配してしまうのです。
こうした「経済の素人」の懸念に対して、コラムは次のように明快に答えています。
『第3の財政赤字や燃料輸入の指摘は、論点がずれている。
財政再建が重要なのは言うまでもない。
しかし、財政再建にまず必要なのは景気回復と経済成長であり、
経常赤字の削減は財政再建の手段としても目標としても的外れである。
燃料の輸入増加もそれ自体が悪いわけではない。
「経常赤字は悪」という固定観念から自由になるべきである。』
なるほど…。そういうものですか…。
まだまだ私は、「経済の基礎知識」が足りないようです。
しかし、人口減少などにより将来的に経常収支のマイナス基調と
対外純資産の減少が見込まれる中で、
所得収支黒字の拡大により、「成熟した債権国」となるためには、
まだまだ解決すべき課題が多いように思われます。