しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

利益の分配から負担の分配へ

今日24日の日経新聞「核心」に掲載された
芹川洋一・論説委員長の『「自民党2.0」の危うさ 〜新たな統治の技見えず』
という記事が面白かったです。

芹沢委員長は、
一党支配の1955年体制下での自民党をバージョン1とすれば、
時代も、制度も、組織も、なにもかもが違っている現在は、バージョン2=2.0で、
当たり前の話として、「自民党は昔の自民党ではない」と述べられています。

そこで問題となるのが統治の技法ですが、
バージョン1のころ、つちかったものは、すでに通用せず、
新たなやり方を探っていかなければならないのに、それがはっきりしないのは、
この20年の日本政治をふりかえると、
「制度」と「人」の面で変更があったことを、芹沢委員長は指摘されています。

まず、制度の変更を二つ挙げられています。
一つは、
小選挙区の導入・政治資金の規制・政党交付金の創設を
3点セットとした94年の政治改革、
もう一つは、
省庁再編で首相のリーダーシップの強化をめざした、橋本龍太郎首相による「橋本行革」。

次に、人の面については、
自民党1.0から2.0への分岐点は、
01年から06年まで5年5カ月つづいた小泉政権にあったとして、
その変化を三つ列挙されています。

 その1=派閥連合体から議員集合体へ
 その2=ボトムアップの政策決定機関から「官高党低」の政策追認機関へ
 その3=現世利益追求型から保守の理念追求型へ

この変化の中で、私が面白い観点だなと思ったのは、
その3の「現世利益追求型から保守の理念追求型へ」です。
具体的には、次のような内容でした。

『米ソ冷戦構造と右肩上がりの経済を背景に、
 利益の分配で成り立っていたのが自民党1.0。
 今や負担の分担を余儀なくされる中、党をまとめていくものは何か。
 現世利益を求めることができなければ、イデオロギーしかない。』

う〜ん、なるほど。
『利益という結節点がなくなれば保守の理念で、くくるしかない。』
というご指摘は、とても説得力があると思いました。

そして、自民党内や日本国内で、愛国保守の気分が強まっている、
その理由が、なんとなく見えてきたような気がしました。

早く現代における「統治の型」を見いだす必要があるのですね。
見つかればよいけれど……。