しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

デフレの克服とイノベーション

賃金の下落はデフレの原因か、それとも結果か?

今月23日の読売新聞「地球を読む」で、
吉川洋東京大学教授は、デフレの原因について、
『今年の終わり頃には答えが出るかもしれないが、
 筆者が日本のデフレを説明するカギと考えているのは賃金である。』と
明快に述べられています。

過去10年、先進国では、
物価の上昇を上回るペースで賃金が上がっているのに、
日本では、賃金が物価の下落以上に下がっているからです。

では、日本の賃金はなぜ下がったのか?

吉川教授は、バブル崩壊の後、国際競争が激しさを増す中で、
日本企業がコストの削減を第一に追究してきたからであると述べられたうえで、
コスト削減のために賃金の抑制、切り下げが行き過ぎると、
経済全体では自分で自分の首を絞めてしまうと指摘されています。

『賃金は単に生産費用だけでなく、
 国内需要を生む購買力でもあるのだから、
 賃金の上昇は一概に一国経済の力を削ぐものではない。
 むしろ経済成長にとって好ましい影響をもつはずだ。』

こうした吉川教授の説明には、直観的にすごく共感できるものがあります。
だって、ほとんどの国民は、賃金で生計を立てている労働者なのですから…。

そして、吉川教授は、デフレ問題の核心は、
年率1%に満たない物価の下落そのものではなく、
賃金デフレと雇用の「劣化」であると、力強く(?)主張されています。

では、どうすればデフレを克服できるのか?
吉川教授は、次のような「答え」を用意されていました。

『真面目に働けば賃金は上がるものだ――
 若い人がそう実感できる経済にしなければならない。
 そのためにも必要なのは、何といってもイノベーション(革新)だ。
 企業は、時代を先取りしたブランド力ある新たなモノやサービスを
 生み出さなければならない。』

記事にある「イノベーション」という言葉を見て、
先日放送された「カンブリア宮殿」で、
村上龍さんが、編集後記において、
次のようなことを述べられていたことを思い出しました。

イノベーションというのは、単なる「技術革新」ではない。
 真のイノベーションとは、科学的発見と技術革新、
 そして社会の変化が一体となって起こることだ。』

オムロンの創業者・立石一真氏を念頭に置いた言葉ですが、
オムロンに限らず、
挑戦者の気概を常に持ち続けようとする、日本企業の底力に期待をしています。