しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

歴史は人間学

『昭和史1926→1945』(半藤一利著:平凡社ライブラリー)を読了しました。

まるで社会の授業を受けているような感じで、
とても読みやすく、そして勉強になった良書でした。

「歴史は決して学ばなければ教えてくれない」と、
半藤さんは述べられていますが、
「むすびの章」では、昭和史の二十年がどういう教訓を私たちに示してくれたか、
その教訓を五つ書かれています。

 ①国民的熱狂をつくってはいけない。その国民的熱狂に流されてしまってはいけない。
 ②最大の危機において日本人は抽象的な観念論を非常に好み、
  具体的な理性的な方法論をまったく検討しようとしない。
 ③日本型のタコツボ社会における小集団の弊害。
 ④国際社会のなかの日本の位置づけを客観的に把握していなかった。
 ⑤何かことが起こった時に、対症療法的な、すぐに成果を求める短兵急な発想。

高校生の頃、世界史と日本史は、私の好きな科目でした。
表面的な暗記に頼る部分もありましたが、その作業もあまり苦痛ではありませんでした。
「でもそれは、どうしてだったのかな…?」と振り返ってみると、
半藤さんは、この本の中で、次のような回答を用意してくれていました。

『それにつけても、歴史とはなんと巨大で多様で、
 面白い物語であるかとつくづく思う。
 人間の叡智や愚昧、勇気と卑劣、善意と野心のすべてが書き込まれている。
 歴史とは何かを考えることは、つまり、人間学に到達するのである。』

私を含め、高校の日本史の授業が明治維新近辺で終わってしまった、
消化不良の体験のある多くの人に、是非読んでいただきたい一冊です。

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)