しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

負の連鎖を断つ

今日(10日)の日経新聞「エコノ探偵団」では、
子どもの貧困問題を取り扱っていました。

記事を読んで、勉強になったことがいくつかあります。
その一つは、
労働力人口が減る中で、貧困に陥って能力を発揮できない子どもが多ければ
国の財政にもマイナスだということです。

18歳の若者に職業訓練を受けさせるなど500万円ほど投資をしても、
正社員として就労できた場合、
定年まで働けば5千万円程度の税・社会保険料が社会に還元される一方、
放置して生活保護に陥った場合には、約5千万円の費用がかかり、
職業訓練による就労が成功するとは限らないものの、
費用対効果は1億円近いということが記事には書かれていました。

もう一つは、
日本の再分配政策は非効率で、貧困解消に力不足だということです
社会保障の多くが幅広い高齢者向けで、
本当に困っている高齢者や若者、子どもに向かっていないのが現状で、
再分配による相対的貧困率の改善率は50%、OECD30カ国中25位という結果が、
小塩隆士・一橋大学教授のコメントとともに紹介されていました。

また、今回の政府の「骨太の方針」骨子では、
「50年後に1億人程度の安定した人口構造の保持を目指す」ことが示されていますが、
「子どもに投資する期間は一時的で人数も減っているので大きな費用になることはなく、
しかも、就学前の子どもへの投資効果は高いとされているので、
現金給付で家庭を安定させて貧困層の子どもたちを引き上げるほうが、
政策として取り組みやすい。」という、国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんの説明が、
より具体的で説得力があると、私には感じられた次第です。

「貧困の連鎖」を断ち切る必要性を、なんとか社会全体で共有したいものです。