しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

メンタルヘルス問題を考える

今日(13日)の日経新聞「経済教室」は、
『従業員のメンタルヘルス〜企業業績に影響大』でした。

近年、私が勤務する自治体においても、民間企業と同様、
精神疾患で30日以上休んでいる長期休業者が増加傾向にあります。
そういう意味で、今回のレポートは大変参考になりました。
以下、少々長くなりますが、重要なポイントをメモ代わりに残しておきます。

 ・メンタルヘルスを損なう従業員が増加した場合、その影響はすぐには現れないものの、
  時間的ラグを伴って企業の利益率は顕著に低下する。

 ・メンタルヘルスによる休職者が全従業員に占める比率は平均で1%未満と低い。
  休職者比率の上昇が企業業績を悪化させる一つの解釈として、
  メンタルヘルスによる休職者比率の経年的な変化は、
  当該従業員だけでなく、その企業の従業員全体の
  平均的なメンタルヘルスの変化の代理指標となっている可能性が考えられる。

 ・労働者がメンタルヘルスを悪化させる背景として、
  その職場や企業に何らかの要因が存在していることが推察される。
  そうした要因が休職者だけでなくその他の従業員のメンタルヘルスの低下を通じて、
  企業の生産性を低下させていると解釈できる。

 ・就業上の要因として、労働時間、とりわけ手当の支払われないサービス残業時間が長いこと、
  仕事を進めるうえでの裁量の度合いが低く、担当する業務の内容が明確ではないこと、
  早く退社しにくい職場風土があることなどが、
  従業員のメンタルヘルスの悪化につながりやすい。

 ・これらの結果は、メンタルヘルスの問題は、休職してしまった従業員の問題だけではなく、
  職場環境や働き方に関係する従業員全体の問題として捉える必要があることを示唆している。

 ・メンタルヘルスによる休職者の存在は、
  その企業の従業員全体の心の健康の代理指標であるという認識は重要である。
  従業員のメンタルヘルスが企業業績に影響を及ぼす可能性を踏まえると、
  メンタルヘルス問題を医療システムによって社会で対処するだけでなく、
  企業が経営課題として向き合うことが求められる。

 ・近年、労働者のワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に向けて、
  企業・職場の様々なレベルで取り組む企業も増えている。
  これまで、メンタルヘルス対策は
  こうした取り組みとは性質の異なるものとして捉えられることが多かった。
  しかし、ワーク・ライフ・バランスと対立する概念である
  ワーク・ライフ・コンフリクト(摩擦)は、
  従業員のメンタルヘルスを悪化させる可能性がある。
  つまり、働き方の改善はワーク・ライフ・バランスの実現だけでなく、
  メンタルヘルスの悪化防止にもつながるという認識が重要といえる。

う〜ん、なるほど…。よく分かりました。
このなかでも、『メンタルヘルス問題は従業員全体の問題』という観点が
とても大切なことだと思いました。

また、レポートを読んで意外だったのは、
経済学の視点に立ったメンタルヘルスの研究は、
まだ蓄積がそれほど進んでいないということでした。

経済学が解決すべき課題は、世の中には、まだたくさん存在するということなのですね。
今後の研究成果に期待したいと思います。