今月23日の日経新聞「経済教室・エコノミクストレンド」は、
柳川範之・東大教授の『供給能力の天井克服を』でした。
先進国が潜在成長率の壁に直面している原因について、
柳川教授は、考えられる原因は2つあり、
「1つは機械との競争で、もう1つは新興国との競争だ」と述べられています。
まず、「機械との競争」については、次のように解説されています。
『IT(情報技術)の進展で、先進国の雇用環境は激変しつつある。
かなりの作業をコンピューターが代替し、
労働者の多くが機械との競争に負けつつある。
必要とされる技能が大きく変化し、雇用のミスマッチが拡大しているのだ。』
そして、ITの進展で働き場所を失う人々を
どう新しい場所で働けるようにするかを
真剣に考えなければこの問題は解決しないとしたうえで、
こうした人材が新しい活躍の場を見つけられる
能力開発の仕組みづくりが必要だと指摘されています。
次に、「新興国との競争」については、次のように解説されています。
『先進国の成長率が低下する一方、新興国の成長は目覚ましい。
新興国の労働者や企業の能力は高度化しており、
先進国の製品や技術がそれらの国との競争に負ける面が増えてきている。
これは先進国の所得や労働環境に、長期的に大きな影響を与える。』
そして、日本も新興国との競争に負けないためには、
より高度な能力、より新しい技術やアイデアを
実現していく経済構造が求められているが、
それにはリスクをとる投資や行動が必要であり、
リスクのある投資に資金が回るような金融システム、
失敗をしてもまた挑戦できるような法制度環境の整備が求められると指摘されています。
柳川教授の論考を読んで、
「潜在成長率は主に供給側の要因に左右されるもので、
総需要の拡大で需給ギャップが縮小し、
総供給の天井が近づくと潜在成長率が顕在化する」
つまり、「潜在成長率の低さは供給能力の限界」であるということを知りました。
「知ったこと」が「理解できた」ことにそのまま結びつかないのが
今の私の「理解能力の限界」です。