う〜ん、いったいこの人たちの頭の中は、どういう思考回路になっているのだろう?
『日本人は思考したか』(吉本隆明・梅原猛・中沢新一著:新潮社)を読み終えての感想です。
まるで宇宙人の会話をそばで聞いているような感じでした。
三人の思想家・哲学者・宗教学者の高度な知的レベルに圧倒されるまま読み進めました。
普段は、印象に残ったところや感動したところに付箋を貼っていくのですが、
この本には、読み終えた後の付箋がほとんどありませんでした。
正直、内容がとても難解で、
どれが重要なポイントなのかさっぱり分からなかったからです。
なんとかついていけたのは、ページ下段にある用語解説のおかげです。
さて、数少ない付箋の添付箇所に、
吉本さんが「原発」について語られたところがあります。
もちろん、福島第一原発事故以前に語られた内容です。
『〜(略)〜僕は反対で、反原発ということに対しても反対です。
その根拠はとても単純で、技術は必ず現在を超えると思っているからです。
〜(略)〜それから技術は必ず現在を超えるから、
原発よりも有効でありかつ安全であるという技術が出てきた時には、
必ず自然廃滅されるんですね。
僕はそういう意味で、技術を楽天的に考えていて、
エコロジカルな思想、反原発の思想に反対であるといってきたと思うんです。』
お亡くなりになりましたが、今も同じお考えなのか、お聞きしたかったです。
もう一つは、梅原さんの「遺伝子」のお話です。
『〜(略)〜もうひとつは遺伝子はやっぱり遺伝するんで、永遠に伝わるわけ。
生物体の一番大事なところは、生物がずっと己の子孫を残していって、
子孫がずっと永久に続いていくということなんだというふうに思うんですね。
私は孫ができてから、そういう循環思想を身にしみて感じる。
こっちの人生はもう終わりなのに、
自分の遺伝子を持った人間がまたこれから人生を生きようとしている。
うまく生きてくれよと願う。
恐らくそれは僕の遺伝子に刻みつけられた生物として
もっとも大切な情報だと思うんですね。』
このあと、科学や技術は、
もっとあの世からこの世から見る、
長い時間のスパンで見ることの必要性について語られていました。
250ページあまりの本を長い時間をかけて読了しました。
今後は、ページ下段の解説を、
思想・哲学辞典として活用していきたいと思っています。
それにしても、日本人は古来から、十分思想してきたのですね…。
- 作者: 吉本隆明,梅原猛,中沢新一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/06
- メディア: ハードカバー
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