しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

死後も生きること

NHKテレビテキストの『100分de名著〜アンネの日記』を読了しました。

テレビでは全4回のうち、まだ1回しか放送されていませんが、
テキストの方を先に読んでしまいました。

テキストでは、随所に日記本文の引用があったので、
書棚に眠っていた「アンネの日記」(深町眞理子訳:文芸春秋社)を取り出して、
その引用箇所を確認しながら読み直しました。

実は、この本も、いつ、どんな目的で買ったのか思い出すことができません。
ただ、改めてページを開けてみると、黄色い色鉛筆で線を引っ張っていました。

例えば、テキストでも引用されていた個所を含めた次のような文章です。

『じっさい、わたしがいまだに理想を全部捨て去っていないのは、驚くべきことです。
 あまりに現実ばなれした理想で、とうてい実現しそうにもないと思われるからです。
 それでもわたしはそれを持ちつづけています。
 なぜなら、たとえいやなことばかりでも、
 人間の本性はやっぱり善なのだということを、いまでも信じているからです。

 わたしには、混乱と、不幸と、死を土台にして、
 その上に希望を築くことなんてできません。
 この世界が徐々に荒野と化してゆくのを、わたしはまのあたりに見ています。
 つねに雷鳴が〜わたしたちを滅ぼし去るだろういかずちが、
 近づいてくるのを聞いています。
 幾百万の人びとが、苦しんでいるのを感じとることもできます。

 でも、それでいてなお、顔をあげて天を仰ぎみるとき、わたしは思うのです。
 〜いつかはすべてが正常に復し、この苦しみも終わって、
 平和な、静かな世界が訪れるだろう、と。』

さて、今回のテレビでの案内役は、作家の小川洋子さんです。
小川さんは、アンネの関係者を訪ねた本も執筆していて、
熱烈な「アンネの日記」ファンとして知られているそうです。

そして、先日、近所の本屋に立ち寄ってみると、
地元の県立伊予高校生向けへの課題図書が平積みされていました。
その中に、小川さんの「博士の愛した数式」(新潮文庫)という本があり、
なにか不思議な縁を感じて、ほとんど衝動的に購入してしまいました。

私の本の購入動機は、どうやらこういうパターンが多いようです。
先ほどの単行本の「アンネの日記」も、
おそらく当時の「完全版」という言葉に引き寄せられて購入したのだと思います。

要は、深く考えていないということです。

『アンネの日記』 2014年8月 (100分 de 名著)

『アンネの日記』 2014年8月 (100分 de 名著)