しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

中間層の衰退

今月21日の日経新聞「経済教室」に掲載された
前日銀副総裁、西村清彦東京大学教授の
『複合危機、中間層に打撃』というタイトルの論考は、格調高いものがありました。
いつものように、この日記をメモ代わりにして、論考の要点を残しておきます。

西村教授は、
最近、日本を含め世界で経済成長率の低下が広範にみられるのは、
実は今世界で同時に起きつつある3つの「地殻変動」の複合的な結果であり、
多くの国で同時進行している
「世界複合危機」の表れと考えるべきであると指摘されています。

第1の地殻変動は、資産バブルの生成・崩壊と金融危機がもたらした、
特に先進国・地域での金融仲介機能の急激な低下と、中産階級層への打撃

第2の地殻変動は、世界にあまねく広がる
「雇用に優しくない」情報通信技術(ICT)の進歩

第3の地殻変動は、世界各地で同時に起こりつつある人口構成の変化

続いて、西村教授は、現在の状況を複合危機と呼ぶ必要があるのは、
3つの地殻変動が複合することで強い負の相乗作用が生じているからである、
そして、世界複合危機は伝統的な経済政策、
特に家計や企業の借り入れコストを通じて総需要に影響を与えてきた
伝統的な金融政策の効果を大きく損ねていると述べられたうえで、
金融政策一般については、次の3つの視点が重要になると指摘されています。

第1に、短期的には過度の楽観や悲観に陥りがちな
市場や人々の「期待」に直接に働きかけ、需要・供給の両面で安定化を図る。

第2に、長期的には金融仲介機能の回復を早急に図る必要があり、
目先には効果が小さくとも着実に進展する方策を実行しなければならない。

最後に、現在の政策が金融市場にもたらしているゆがみに十分留意して、
それが長期的なダメージをもたらさないようにし、
特に将来の政策見通しを明確にする必要があり、それが信頼の礎である。

以上、簡単に要約してみました。
論考を読んで、中産階級の家計や中小企業が、
この複合危機から大きなインパクトを受けていることが、よく理解できました。

追記
さて、明日からいよいよプロ野球日本シリーズです。
阪神が日本一に王手をかけるまで、誰にも内緒で応援することにします。
でも、勝利が続くと喜びが顔に出てしまうかも…?