しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

一喜一憂にも歴史あり

日本経済にとって、円高が良いのか円安が良いのか、
以前から、素人なりに疑問に思っていたところ、
昨日(29日)の日経新聞「経済教室」を読んで、少しは疑問が解けたような気がします。
行天豊雄国際通貨研究所理事長の
『円相場と日本経済㊤〜脱「為替」経済へ構造転換を』というタイトル論考のことです。

いつものように、この日記をメモ代わりにして、論考の要点を書き残しておきます。

 ・それならどんな相場なら良いのだろう。
  結論を先に言えば、誰にとっても適正で望ましいといえる特定の相場は存在しない。
  経済主体はそれぞれ異なった利害関係を持ち、全員が同時に満足する水準はない。
  理屈としては事後的にみて
  経常収支が均衡していた時期の相場が適正だっただろうといえるが、
  それは現状の判断や将来の見通しには使えない。

 ・為替相場の変動がさまざまな経路で実体経済に影響を及ぼすのは間違いない。
  しかし、相場変動の当面の影響に過剰反応するあまり、
  日本経済が直面している本当の課題を忘れてはならない。

 ・為替相場変動に一喜一憂しないということは単に心構えの問題ではない。
  一喜一憂しないでも良いような構造を造らねばならないのである。
  相場変動が持つ影響の大きさは、当然ながら
  国民経済における輸出の比重と輸出決済における自国通貨建ての比率に左右される。
  残念ながら、この二つの面で最近の動向には憂慮すべきものがある。

 ・為替相場は重要な経済変数である。
  しかしそれは基本的には当事国の長期的な物価動向の所産なのである。
  目先の変動に気を奪われ尻尾が犬を振る愚を犯してはいけない。

行天理事長によると、
先進国の中で日本ほど自国通貨の為替相場に一喜一憂する国はないそうです。
それには歴史的に理由があって、
第2次世界大戦の終結から71年のブレトンウッズ体制崩壊まで、
日本は1ドル=360円という円安の固定相場制のもとで
輸出主導型の経済成長を成し遂げ、
その過程で為替相場が輸出を左右する要因だという認識が定着した、
とのことでした。

「一喜一憂にも歴史あり」ということでしょうか……。