しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

耳の痛いお話

今日から連載が始まった日経新聞「医 出づる国」には、

「子どもの風に風邪薬はいらない」という見出しのもと、

茨城県守谷市の小児科医院の診療方針が紹介されていました。

その医院には、地元だけでなく県内各地から患者が訪れるとのことでした。

 

記事によると、そこの院長先生は、

子どもの症状や所見から、髄膜炎や肺炎などの危険性がないと判断すると、

付き添いの大人に「まず様子を見ましょう」と言って、帰宅させるそうです。

 

また、その理由については、

院長先生の言葉として、次のように書かれていました。

・「大半の風邪はウイルスが原因で特効薬はない」

・今も処方されることが少なくない抗菌薬(抗生物質)は

 「副作用や耐性菌を生むおそれがありマイナス面が大きい」

 

「風邪をひいた子供は自然に治る」という考え方は、

かつて読んだ、『風邪の効用』(野口春哉著:ちくま文庫)に書かれていた

「風邪は自然の健康法である。

 風邪は治すべきものではない、経過するものである。」という考え方と

 ほぼ同じではないかと感じました。

 

記事にも書かれていたように、

高熱やせきに苦しむ子供の姿をみれば、

早く治してあげたいと思うのが親心で、

薬や注射など「形の見える治療」は安心材料になります。

 

私の孫娘も、最近でこそ熱を出すことが少なくなりましたが、

幼児の頃は、幾度か高熱を出し、周りの大人はその度に動揺して、

小児科病院のお世話になることが多かったように思います。

 

さらに記事では、別の角度から、

わが国の年間の薬剤費は約8.5兆円(2012年度)に上り、

少し注意を払ってみると、身の回りには「必要のない薬」が実に多いとして、次のように書かれていました。

 

『病気を治すうえで薬が大きな力を発揮することはいうまでもない。

 だが、適切なタイミングで必要な量を飲んでこそ意味がある。

 ムダな薬を持っていても「お守り」にはならない。』

 

すぐ薬に頼ろうとする軟弱な私には、耳の痛いお話です。

 

風邪の効用 (ちくま文庫)

風邪の効用 (ちくま文庫)