今日から連載が始まった日経新聞「医 出づる国」には、
「子どもの風に風邪薬はいらない」という見出しのもと、
その医院には、地元だけでなく県内各地から患者が訪れるとのことでした。
記事によると、そこの院長先生は、
子どもの症状や所見から、髄膜炎や肺炎などの危険性がないと判断すると、
付き添いの大人に「まず様子を見ましょう」と言って、帰宅させるそうです。
また、その理由については、
院長先生の言葉として、次のように書かれていました。
・「大半の風邪はウイルスが原因で特効薬はない」
・今も処方されることが少なくない抗菌薬(抗生物質)は
「副作用や耐性菌を生むおそれがありマイナス面が大きい」
「風邪をひいた子供は自然に治る」という考え方は、
かつて読んだ、『風邪の効用』(野口春哉著:ちくま文庫)に書かれていた
「風邪は自然の健康法である。
風邪は治すべきものではない、経過するものである。」という考え方と
ほぼ同じではないかと感じました。
記事にも書かれていたように、
高熱やせきに苦しむ子供の姿をみれば、
早く治してあげたいと思うのが親心で、
薬や注射など「形の見える治療」は安心材料になります。
私の孫娘も、最近でこそ熱を出すことが少なくなりましたが、
幼児の頃は、幾度か高熱を出し、周りの大人はその度に動揺して、
小児科病院のお世話になることが多かったように思います。
さらに記事では、別の角度から、
わが国の年間の薬剤費は約8.5兆円(2012年度)に上り、
少し注意を払ってみると、身の回りには「必要のない薬」が実に多いとして、次のように書かれていました。
『病気を治すうえで薬が大きな力を発揮することはいうまでもない。
だが、適切なタイミングで必要な量を飲んでこそ意味がある。
ムダな薬を持っていても「お守り」にはならない。』
すぐ薬に頼ろうとする軟弱な私には、耳の痛いお話です。