しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

今週が歴史的転換点?

今月6日のこの日記で、

『生きて帰ってきた男~ある日本兵の戦争と戦後』

小熊英二著:岩波新書)の読書感想文を書きました。

 

この読み応えのある本の感想を、

今日の日経新聞「春秋」では、

「逆らいがたい社会の変化のなかで懸命に生きる姿に、

読後、人間の偉大さへの感動を覚える。」と簡潔明瞭に書かれていました。

 

同じ読後の感想文でも、

コラムニストの文章は、「洗練されているなぁ…」と羨ましく思います。

そして、この本が、小林秀雄賞に決まったことも紹介されていました。

 

コラムニストと感想が一緒だったのは、

私が一番心に刻まれた文章を、次のように採り上げていたことです。

 

『~(略)~謙二(著者の父)さんは、

 人生の苦しい局面で最も大事なことについて、答えた。

 「希望だ。それがあれば、人間は生きていける」』

 

ところで、実は、コラムの本題は、

今週は、21世紀初めの世界や日本の転換点となり得る出来事が

相次ぐということでした。

 

その一つは、米連邦公開市場委員会(FOMC)が、

2008年末からのゼロ金利の解除をするかどうかで、

株価や新興国通貨への影響も取り沙汰されているそうです。

 

もう一つは安保関連法案の参院での行方で、

一定要件の下で集団的自衛権の行使に道を開くということです。

 

これらの出来事と、小熊さんの著書を結びつけたコラムは、

ちょっと強引なような気もしますが、

おそらくその意図は、次の文章に表れているのだと思います。

 

『双方(ゼロ金利の解除と集団的自衛権の行使)、

 国や人々の運命を大きく変える可能性があるだけに、

 多くの負託に応えた、熟慮の上での判断を待つほかない。

とはいえ、結末いかんに関わらず、

やがて、思わぬ荒波に世がもまれるのは歴史の常。』

この文章の後に、先ほどの「希望だ。……」が続きます。

思わぬ荒波にもまれても、小熊さんのお父さんのように、

希望を失わずに生きていこう、というメッセージと受け止めました。