しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

リベラルアーツと実践知

今日17日の愛媛新聞「現論」に、田中優子・法政大学総長が、

『重要性増す人文科学~社会を考え伝える力』というタイトルの論評を

投稿されていました。とても勉強になる論評でした。

 

この論評のなかで田中総長は、「実践知」というものを、

野中郁次郎一橋大学名誉教授の言葉を引用して、

次のように紹介されています。

 

『実践知とは「善い」目的をつくる能力、場をタイムリーにつくる能力、

 ありのままの現実を直観する能力、直観の本質を概念化する能力、

 概念を実現する政治力、実践知を組織化する能力で構成されている。』

 

そして、この実践知には「リベラルアーツ」が欠かせないとして、

次のように述べられています。

 

『欧州で重要視されてきた哲学、文学、芸術、自然科学を学ぶなかでこそ、

 総合的に「関係性を読み解く能力」を

 身につけることができるからである。』

 

さらに、論評の最後には、

『これからの日本人が身につけるべきだと言われている思考力、

 判断力、表現力、そして、極めて高いコミュニケーション能力とは、

 実は実践知の要素なのである。』と実践知の重要性を述べられています。

 

日記の記述の順序が逆になりましたが、

田中総長がおっしゃりたかったのは、

「人文社会科学系学部の不要論」とも捉えかねない

今年6月の文部科学省通知に対しては、

「正しい認識と冷静な判断を持つことなのではないか」と思いました。

 

『大学の学部編成は変わってもよいかもしれないが、

 実践知を見につけるための人文科学系の科目は、ますます重要になる。』

 

人文社会科学系学部に在籍する大学生の皆さん、

これからこれらの学部を志願する高校生の皆さんは、

田中総長のこの言葉に勇気をもらって、

正々堂々と自ら選んだ学問の道を極めていただきたいと思います。

 

だって、過去の歴史を振り返っても、

国家の命運に影響を与えた著名な思想家・啓蒙家の多くは、

人文社会科学系の人材だったはずですから…。