安倍首相が先月24日に発表した「新・三本の矢」は、
それぞれ目標として、名目GDP600兆円を目指す、
出生率1.8人を目指す、50年後に人口1億人を維持する、
介護離職者ゼロを目指す、などの数値目標が掲げられています。
そして、これら三本の矢が目指しているものが「一億総活躍社会」です。
でも、この「一億総活躍」という言葉は、あまり評判がよろしくないようです。
確かに、私なんかも、
「一億総懺悔」とか、「一億総玉砕」とか、「一億総中流」という
戦中から戦後に使われた言葉をついつい連想してしまいます。
どうやら「一億総〇〇…」というと、
どちらかというと、ネガティブなイメージが付きまとうようです…。
そんなことを最近思っていたところ、
今日の日経新聞電子版の「経営者ブログ」で、
鈴木幸一さんは、次のように述べられていました。
『超高齢化社会に加速度がついている日本で、
いくら看板とはいえ、「一億総活躍」と掲げるセンスを見せつけられると、
政治を取り巻く世界というのは
途方もない常識を持っている人々の集まりかも知れないと感じ入る。
年端のいかない子供たちはともかく、
人口構成で多数を占めるようになる高齢者にとって、
なんらかの活躍をして、国に貢献できることは何かと考えると、
ついつい受け身の発想が思い浮かんでしまう。』
さらに続いて、
『高齢者が持つ知恵を大切にし、生かすことは、
国として、とても重要なことなのだが、
それが「総活躍」という言葉になると、なんだか気持ちが悪い。』
う~む、何もここまで…と思わなくはないけれど、
鈴木さんのお気持ちは十分理解できます。
今年還暦を迎える私も、これからは何とか家族や地元自治体に
迷惑をおかけしないように生きるのが精一杯で、
社会で活躍する機会はあまりないように思われますし、
何よりも世の中には活躍したくても活躍できない状態にある人がいて、
そういう人に対する配慮が欠けているようにも思います。
ひょっとして、政府は本当に今年の「流行語大賞」を狙っているのでしょうか?
いや、それは軽い冗談として、「一億総活躍」という言葉が、
各省庁の予算獲得のための道具に使われるのではなくて、
いずれはポジティブなイメージに「変身」することを願っています。