企業の内部留保をめぐる昨今の議論に関して、
今日4日の日経新聞「大機小機」には、
『解せない内部留保課税論』と題して、反論のコラムが掲載されていました。
コラムの主張は、
「そもそも内部留保課税は二重課税だという意味で問題だが、
設備投資などの増加につながるという考え方にも違和感がある」とのことで、
その核心部分は、次のような記述でした。
『結局のところ、問題の核心は企業がなぜおカネを使わないかでなく、
なぜ日本でもっと使わずに、世界で使うのかである。
カギは投資や雇用を増やしたくなる環境を日本につくりだすことだ。
事業コストは低いか。ビジネスがしやすい規制や法制度が整っているか。
グローバルに通用する人材や新技術に明るい人材を確保できるか。
こうした点が重要になる。
税逃れをしているわけでもないのに「守銭奴」呼ばわりされる。
そんな国で企業は投資を増やしたいと思うだろうか。』
う~む…。おっしゃっていることはごもっともなのですが、
企業が設備投資や雇用におカネを使わない要因を、
なんだか「他人のせい」にしているように私には聞こえます。
この企業の内部留保と同様に、
地方自治体でも「基金」という、家計の「貯金」に該当するものがあります。
この基金残高が多いことをもって、健全財政だと評価する考え方がある一方、
過度の積立ては世代間公平の観点などからは好ましくなく、
住民サービスの向上のために、必要に応じ適切に使用すべきではないか、
という考え方もあります。
企業と地方自治体を同様に論じるのはどうか、
という御指摘もあろうかとは思いますが、
内部留保も基金も自ずと「適正規模」や「適正水準」があるような気がします。
いずれにしても、消費者や企業がそれぞれの利益で動いても
経済全体の利益になるとは限らないという「合成の誤謬」に、
日本経済が陥らないよう願いたいものです。
そのためには、私も「貯蓄」から「投資」へ!!
「デフレマインド」から「インフレ期待」へ!!
…と威勢よく言いたいところですが、残念ながら…無い袖は……。(トホホ)