しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

成長と格差のバランス

今月11日の日経新聞「経済教室」は、
森口千晶・一橋大学教授(スタンフォード大学客員教授)の
『格差を考える㊤〜戦後日本 富の集中度低く』でした。

森口教授の研究・分析によると、
日本の上位所得シェアは歴史的にも国際的にも依然として低い水準にあり、
ピケティ氏が警告する「富裕層のさらなる富裕化」が
起こっているようにはみえないそうです。

そのうえで、森口教授は、
成長を高めるために日本は上位所得における格差を容認すべきだろうかと
「成長と格差のバランス」に係る根本的な問題を提示されています。

う〜ん……、これはよくよく考えてみると大変悩ましい問題です。
私自身は高額所得者ではないので、
日本では「分厚い中間層」で構成される「平等社会」が理想的だとも思うのですが、
かといって、このような社会ではイノベーションが起きず、
縮小均衡」に陥るような気がします。

この点に関する森口教授の解説は、次のようなものでした。

『高度成長期に日本が作り上げたシステムは
 個人の卓越した才能よりもチームワークを重視し、
 トップダウンよりもボトムアップの革新を奨励するシステムであり、
 多くのメンバーから高い意欲と生産性を引き出すのに優れている。
 その半面、傑出した個人に十分な誘因や報酬を与えないため、
 労働市場グローバル化すれば才能の流出を招く。
   〜(中略)〜
 他方、米国のシステムは、
 競争を勝ち抜いた個人に大きな報酬を与えるスター・システムであり、
 シリコンバレーの起業家にみるように、
 創造力や独創性の育成に威力を発揮する一方で、残された大多数を顧みない。

 また、米国の超富裕層の6割を占める大企業経営者の多くは、
 才能と努力ではなく幸運によって巨額の報酬を得ているという分析もあり、留意が必要だ。』

果たして日本社会は、どちらの方向に向かっていくのでしょう…?
私には分かりませんが、
ひょっとして「神の見えざる手」が、このような場合にも働くのでしょうか……?