しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

青ざめた春の記憶

今月20日の読売新聞「編集手帳」を読んで、
大学受験の際しての、ほろ苦い体験が甦ってきました。

『千葉県内の公立高校で入試当日の朝、電車を乗り間違えた受験生である。
 JR京葉線南船橋駅ホームで「もう間に合わない」と途方に暮れた。』

コラムにはこのように書かれていて、
私も同じような体験をしたことを思い起こしたのです。

現役の時、私は同級生二人と仙台にある某国立大学を受験しました。
JR予讃線や新幹線を乗り継ぎ、やっとのことで東京駅に到着…。
上野駅に向かうために山手線に乗ったものの、
なかなか「次は上野…」という車掌さんのアナウンスがありません。

そわそわしていた私たちに気が付いたのか、
前に立っていた親切な乗客の方が、乗り間違いを指摘してくれました。
慌てて逆方向の山手線に乗り換えたものの、
予約してあった仙台行きの特急列車には間に合いませんでした。

やむを得ず次の特急列車に乗ることになりましたが、
当然のことながら満席状態で、私たちは仙台に着くまでほとんど立ちっぱなしでした。

この件で小心者の私は、気持が動転したのかどうか分かりませんが、
受験の結果はあえなく不合格となりました。(同級生二人は見事に合格しました。)

先ほどのコラムに登場したお二人は、
電車の車掌や駅長さんの「人の情け」の下で、
試験開始には間一髪で間に合ったとのことでしたが、
きっと幸運の女神にも助けられて、無事合格されていることと思います。

『青春はみづきの下をかよう風あるいは遠い線路のかがやき』

高野公彦さんの、この味わい深い一首が紹介されていたコラムは、
『青ざめた春の記憶もまんざら捨てたものではない。』と結ばれていました。

さて、私がもしあの時、仙台行の特急電車に間に合っていたら、
その後の人生はどうなっていたのか……。
人生って、つくづく不思議なものだと思います。