しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

軸足はどちらに?

先月29日の産経新聞「正論」に掲載された
雪斎先生こと、櫻田淳・東洋学園大学教授の
『日本はアジアではなく太平洋だ』という論評を読んで、
少し考えるところがありました。

それは、「日本が国家としての軸足を置くのはアジアなのか、
それとも太平洋なのか」という、
国家としてのアイデンティティーに関わる「問いかけ」です。

うむ…、当然のこととして、日本は「アジア」の一員でしょう、
…と思っていたところ、
雪斎先生は、従来、「陸」を基準にして、
日本は「東アジア」や「北東アジア」を成す国として
位置付けられるのが一般的であったけれども、
こういう認識は、物事の「重心」が中国大陸に引っ張られた感じになる。

それは、結局のところは、「中国→中心、日本→周縁」という、
近代以前の国際認識の焼き直しでしかないのであるから、
今後は、「海」を基準にして、
「日本は『北西太平洋』の国である」と定義するのが
適切であると指摘されています。

この考え方によると、南シナ海は、
中国から見ると、「中国大陸に付属する海」であるという
「陸」中心の視点を反映したものになるのに対して、
北太平洋の国々」である日米両国から見ると、
それは太平洋の「縁海」の一部で、
中国こそが北西太平洋にじかに接することのない「外野」
ということになります。

う〜ん、ちょっとビックリしました。
まさに、世間一般の常識をひっくり返すような発想です。

要するに、雪斎先生は、
今後とも日本は、日米同盟を基軸として(軸足を太平洋に置いて)、
集団的自衛権行使を織り込んだ安全保障法制の整備や
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の樹立に
取り組むべきであるというお考えなのでしょうか…?

「海」が「陸」か? あるいは「アジア」か「太平洋」か? 
難解な「問いかけ」です…。