文部科学省が、「社会的要請」に鑑みて、
教員養成系や人文社会科学系の学部などは、
組織の廃止・分野転換をすすめるよう、全国の国立大に求めた通知に関して、
昨日11日は日経新聞「春秋」に、そして今日12日は朝日新聞「天声人語」に
それぞれ疑問を投げかける記事が掲載されていました。
まず、日経新聞「春秋」は、次のような内容でした。
『空理空論をもてあそぶ授業は困るが、
いかに大衆化したとはいえ実学一辺倒で大学の値打ちが保てるかどうか。
教養なんかサヨナラというならこの国の未来は心もとない。
あとで値打ちのわかる贅沢品より、何事もお手軽な消耗品で間に合わせる時代。
ファストフード、ファストファッションの次はファスト大学だろうか。』
『理工系に力を入れ、技術革新を生み出し、成長につなげる。
職業教育を強化し、実社会に即戦力を送り出す。
手っ取り早く、目に見える成果を出せということか。
しかし、人文系の知を軽んじていいということにはなるまい。
文理融合が必要な研究課題は数多い。生命倫理や環境倫理は好例だ。
効率のみの追求は学問全体を衰弱させないか。』
まず、文部科学省が出した通知文は、
冨山和彦・経営共創基盤CEOが提唱する
「G型大学・L型大学」の考え方が反映されているのでしょうか…?
たぶん、そうなんだと思います。
私は、いわゆる「教養主義」に、
憧れとロマンチシズムを感ずるタイプなので、
どちらかといえば、両コラムニストの考え方に賛同します。
大学と大学生には、コラム御指摘のとおり
「無駄な時間」と「非効率」も必要だと思っています。
一方で、公立私立を問わず、大学には多額の税金が投入されているので、
国民が「未来」の大学と大学生に寄せる「夢」や「期待」というものを
裏切らないようにしていただきたい……そのようにも思います。