しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

後世に遺すべきものとは

NHKテレビテキストの100分de名著

『代表的日本人~内村鑑三』を読了しました。

ゲスト講師は、批評家の若松英輔さんでした。

 

「代表的日本人」が取り上げているのは、

西郷隆盛上杉鷹山二宮尊徳中江藤樹日蓮の五人の生涯ですが、

若松さんの解説によると、

じつは、この本の本当の主役は5人の人間ではなく、

彼らを超えたものの存在、それを内村は「天」と書いているとのことでした。

 

『人は、「天」に導かれるとき、どのように人生を切り拓き、

 苦悩や試練と向き合うことができるのか。

 また、そこで他者と時代と、どのように関係を作り上げてゆくことができるのかが、

 この本には活き活きと語られている』と述べられています。

 

う~む、そうだったのか……。

私は以前、「代表的日本人」を読んだことがありますが、

このように深く掘り下げて読んだ記憶はなく、

「歴史上には偉大な人物がいたのだなぁ~」という程度の感想でした。

ですから、この本はもう一度読み直してみることにします。

 

そして、今回、テキストと同時にテレビを視聴して理解したのは、

「代表的日本人」に込められたもう一つのテーマは、

内村の有名な講演録「後世への最大遺物」と通じあっており、

一緒に読み解いていくとその本質がわかっていくという、

若松さんの次のような解説です。

 

『内村にとって生きるとは、自己実現の道程というよりも

 「後世」に生まれる未知の他者が歩く道を準備することだった。

 逆に私たちは、何を受け継ごうかと考えて世界を見るとき、

 はじめて自身に準備されている「遺物」の豊かさに気づくことができる。』

 

「日本人として生まれてよかった」、あるいは、

「こんな自分でも後世に何か遺せるのではないか」。

こんな気持ちにさせられるNHKテキストでした。

もちろん、テキストだけでなく、テレビでの若松さんの解説も素晴らしかったです。

 

内村鑑三『代表的日本人』 2016年1月 (100分 de 名著)

内村鑑三『代表的日本人』 2016年1月 (100分 de 名著)