『チェ・ゲバラ伝増補版』(三好徹著:文春文庫)を読了しました。
読了するのに少し時間がかかった本でした。
いつものように印象に残った記述を書き残しておきます。
・男はひとりの女に出会うことによって、
その生涯を大きく変えられてしまうものらしい。
人はそれを、運命の出逢いというのだ。
・なにか事をなすにたっては、他人の押しつけによらず
あくまでも自分自身の意思によって行われるべきだというのが、
終始一貫してかれの生涯を支配している主題であった。
・内容よりも形式を重んずるようになっては、革命はもはや革命たりえない。
・チェにとって、革命は童話でもおとぎ咄でもなかった。
それはまさしく勝利か死かの戦いでもあったのだ。
・激情的なカストロとは対照的に、チェは冷静でうちに熱情を秘めた男だった。
そしてカストロは革命のリアリストであり、チェは革命のロマンチストであった。
・かれは医師からゲリラ戦士になり、ゲリラ戦士から革命家へと昇華して行ったが、
いついかなる時でも、読書だけは怠らなかった。
日記をつけることと本を読むこととは、かれの終始一貫した習慣であった。
・男がほかの女に心を移したとき、女にとってできることは男と別れることだけだ。
・チェにとっての社会主義とは、これの言葉をそのまま使えば、
「人間による人間の収奪の根絶」であった。
・歴史は多くの革命かをもったが、いったん権力を手にした革命家が
自らその地位を放棄して、困苦にみちた新たな戦列に加わったとい例はかつてない。
チェがそれをなした史上最初の革命家であった。
チェ・ゲバラという人物が歴史上存在していたことは知っていましたが、
この本を読んでその人となりを理解することができました。
何が彼の魅力なのか、彼の何に惹かれるのかといえば、
著者が指摘しているように、その「生き方の純粋さ」と「革命のロマンティシズム」
だと思いました。
「意志の力、英雄的な精神、そして人間の偉大さが何をなしうるかの崇高な証」
というカストロの言葉が、読む人の心を打ちます。