『佐藤優選 自分を動かす名言』(佐藤優著:青春出版社)を読了しました。
本書の「まえがき」で佐藤さんは、
『私は読者の人生に具体的に役立つと信じる言葉だけを精選し、
そこに全精力を傾けて解説を付した。』と述べられています。
そのお言葉のとおり、古今東西の名言もさることながら、
佐藤さんご自身の解説の中にも、たくさんの名言や名文章がありました。
たとえば、次のような……。
・あなたの3年、5年、10年先輩を見てみよう。
その中に一人でも、仕事の能力的にも人間的にも尊敬できる人がいるなら、
その会社はブラック企業ではない。
尊敬できる先輩のノウハウを真似る(盗む)ことで、あなたも確実に成長していく。
・ひたすら一生懸命に努力していれば道が開けるというのは嘘だ。
間違えた方向に向けていくら努力しても、それは結果とは結びつかない。
大きな目的を見つけることができない場合は、
実現可能な小さな目的をそのつど立てて実現していくという方法もある。
こういうやり方で小さな成功を積み重ねていくうちに、
何が大きな目的であるのかが見えてくる。
・人柄がよくて従業員にも優しいが、
能力が基準に達しておらず会社を潰してしまうような経営者よりは、
多少あこぎだとしても、企業がきちんと生き残れるよう導いてくれる
経営者の方がはるかにましだ。
・トップになった人は、「自分は努力をしたから成功した」と思う。
たしかに努力は成功の必要条件だ。
ただし、「成功しなかった者は努力が足りなかったからだ」
と勘違いしてはならない。
トップになった人の数倍、数十倍努力したにもかかわらず、
「中の上」くらいで出世が止まってしまう人もいる。
こういう人は、運や巡り合わせがよくなかったのだ。
・人生は短い。読書術の要諦は、
どのような本を読んではいけないかという「捨てる技術」にある。
・後悔にも二種類ある。
「あんなことをしなければよかった」という行為に対する後悔と、
「あそこでこうしておくべきだった」という不作為に対する後悔だ。
行為と不作為のどちらを優先するかはそのときの状況判断にもよるが、
最終的にはその人の価値観によるところが大きい。
・人生の待ち時間を自覚させてくれる老いは、必ずしも悪いことではない。
「“言葉の力”が、この社会を生き抜く武器になる」ということを
実感させてくれる良書だと思います。
悩んだ時や落ち込んだ時には、これからも本書のお世話になりそうな気がします。