朝日新聞の一面コラム「折々のことば」が、
先月26日に500回を迎えた際に、
コラムの執筆者である鷲田清一さんにインタビューをした記事があったことを、
最近になって気がつきました。
私は、朝日新聞デジタル版の無料会員になっていて、
この無料会員は、デジタル版の有料記事を毎日3本まで読めることができます。
とても有難いサービスなので、3本を厳選して読む必要がありますが、
私の場合、「天声人語」と「折々のことば」は毎日必ず、
そして、その日のうちで最も興味を抱いた記事を読むようにしています。
また、「折々のことば」で感銘を受けた言葉は、
必ずメモ帳か、この日記に書き残すことを習慣づけています。
さて、先ほどのインタビュー記事で鷲田さんは、次のように述べられていました。
『言葉を紹介する時には、今起きている事件や政治的な問題から、
ぐっとカメラを引いてアングルを広く取るようにしています。
「天声人語」よりもさらに引くのが、「折々のことば」の意義だと思っています。
百年や千年の昔に、よく似た事態について書いている人がいる。
海外で全然違う事件について語られたことが、
今この事件に向き合う時にすごく役立つこともあります。
問題を考える時の補助線になるような言葉、
「今までそんな風に考えたこともなかった」というような言葉を、探しています。』
『「折々のことば」で取り上げる言葉は、
昔から自分がすごく刺激を受けてきたものが多いです。
言葉を反芻(はんすう)し、自分の経験と照らし合わせながら、
長く付き合ってきた言葉です。
新しい本や発見したばかりの言葉を取り上げた時は、掲載してしばらくたってから、
他にも意味が含まれていることに気づく場合もあります。
旧友や恩師と同じで、出会った頃と、50年付き合ってきた後とでは、
魅力を感じる所や関係の意味が全然変わってくる。
本当に大事な言葉ほど、触れた人との関係の中で深化していきます。』
う~む……。
この記事を読むと、「折々のことば」を読むときには、
姿勢を正しくして読む必要があるのではと感じます。
さらに、インタビュー記事の中で鷲田さんは、次のようなことも述べられていました。
『言葉をきっかけに、思い詰めていた事柄を別の視点から見られるようになり、
背負っている荷物がちょっとでも軽くなればうれしいですね。』
はぃ…、私は、何回も鷲田さんの言葉に助けられています。
(背負っている荷物は元々軽いですけど……。)
言葉が「深化」するということは、何となく理解できるような気がします。