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しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

体験に基づく言葉の力

論考・論評・コラム

今日20日の日経新聞「春秋」は、身につまされるコラムだったので、

割愛せずに、全文をつぎのとおり引用させていただきます。

 

『郷里から呼び寄せた母が認知症になり、

 妻も介護疲れからか、くも膜下出血で倒れてしまう。

 しかし出世コースに乗っている主人公は、重要プロジェクトから外されるのを恐れ、

 会社には家の事情をつぶさに打ち明けない。

 楡周平氏の小説「介護退職」のストーリーだ。

 

 会社を不在にしがちになった主人公は上司に問いただされ、とうとう実情を話す。

 業務に支障を及ぼしたせいか閑職に異動になり、退職を決意。

 実際、ありそう な話だ。

 介護に仕事の時間をとられることをハンディと考え、言い出せない。

 自分の仕事を同僚に頼むことになるため事情を話しにくい、という人も多いだろう。

 

 家族の介護の問題は急にやってくる。

 社員が直面したとき、仕事との両立を会社がどのように支援していくか。

 政府は介護休業制度を見直し、家族1人につき93日の休みが

 来年1月からは3回に分けて取れるようになる。

 ただこうした制度面以外に、

 介護に携わりやすい職場の雰囲気づくりといったソフト面も大事になる。

 

 小説の主人公は外国企業に採用されるが、

 いったん離職すれば再就職は簡単ではない。

 介護支援のNPO法人パオッコの太田差恵子理事長は、

 職場の仲間が声をかけてあげることが大切という。

 「家族が倒れるのは誰にでも起こる。お互いさまだよ」

 「今は大変だけど、必ず落ち着くときがくる」。言葉の力は大きそうだ。』

 

コラムに登場する「介護退職」という小説を、私はまだ読んだことがありませんが、

アマゾンのカスタマーレビューを読むと、親の介護がメインテーマというより、

「転職サクセスストーリー」ではないか、という辛辣な評価もありました。

確かに、「いったん離職すれば再就職は簡単でない」のが

世の中の厳しい現実だと思います。

 

それよりもなによりも、私がこのコラムを読んで感じ入ったのは、

「職場の仲間が声をかけてあげることが大切で、言葉の力は大きい」

という記述でした。

 

私の職場の先輩(私と同じ自治体OBです)は、

認知症となられた両親を同時に介護されてきたという方で、

私が最近、父親の身の回りの世話で仕事と家庭の両立が難しく、

心身ともに疲れている状況をお話しすると、

親身になって聴いてくれて、しかも適切なアドバイスをしてくれます。

 

再就職先で孤立しがちな私は、

この先輩の励ましの言葉に、どれほど助けられたことか……。

それほどに、「体験に基づく言葉」には、

人に何かを与える「力」があることを痛切に感じています。