しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

分断社会に生きる私たち

『18歳からの格差論』(井手英策著:東洋経済新報社)を読了しました。

僅か112ページの薄い本ですが、内容はとても濃い本でした。

 

社会全体を覆っている閉塞感や息苦しさはどこからくるのか?

それは、私たちの社会が「3つの分断の罠」にはまっていることと関係している、

著者はこのように述べられています。

 

その一つ目は「再配分の罠」。

困っている人を助けようとすると中間層が反発すること。

2つ目は「自己責任の罠」。

成長できなくなるなかで成長が求められる矛盾、

自分たちで生活ができなくなって、政府への怒りがわきあがる不幸の連鎖のこと。

3つ目は、「必要ギャップの罠」。

年齢に応じて必要なものは違うけれど、

そのギャップが民主主義を弱らせ、世代間の対立を生んでいる。

 

要するに、私たちは、

平均的な所得層である「中間層」が貧しい人を批判し、

人びとが政府をののしり、お年寄りと若者がはげしく対立する、

そんな不機嫌な「分断社会」を生きているようです。

 

では、分断線を消すためにはどうすればよいのか?

著者は、本書の最後の部分で、次のように述べられています。

『そう。なぜできないかを説明するのではなく、

 未来を創るために何ができるかを考えるのです。

 僕たちには考え、語り合い、決断をする自由があるのですから。

 誰もが自分の生き方を自分で決められる、

 そんな自由で公正な社会の可能性を一緒に考えてみませんか?

 ひとつでもいい。理不尽なできごとをなくすために!』

 

本書を購読したきっかけは、

9月13日の朝日新聞「折々のことば」で、鷲田清一さんが、

『自分が自分の生き方を決められてはじめて、

 ほかの誰かが自由を持てないことへの怒りも

こみあげてくるのではないか』という

本書に登場する言葉を紹介されていたことにあります。

是非、これからの日本を背負う若い方に読んでいただきたい一冊です。

 

18歳からの格差論

18歳からの格差論