『18歳からの格差論』(井手英策著:東洋経済新報社)を読了しました。
僅か112ページの薄い本ですが、内容はとても濃い本でした。
社会全体を覆っている閉塞感や息苦しさはどこからくるのか?
それは、私たちの社会が「3つの分断の罠」にはまっていることと関係している、
著者はこのように述べられています。
その一つ目は「再配分の罠」。
困っている人を助けようとすると中間層が反発すること。
2つ目は「自己責任の罠」。
成長できなくなるなかで成長が求められる矛盾、
自分たちで生活ができなくなって、政府への怒りがわきあがる不幸の連鎖のこと。
3つ目は、「必要ギャップの罠」。
年齢に応じて必要なものは違うけれど、
そのギャップが民主主義を弱らせ、世代間の対立を生んでいる。
要するに、私たちは、
平均的な所得層である「中間層」が貧しい人を批判し、
人びとが政府をののしり、お年寄りと若者がはげしく対立する、
そんな不機嫌な「分断社会」を生きているようです。
では、分断線を消すためにはどうすればよいのか?
著者は、本書の最後の部分で、次のように述べられています。
『そう。なぜできないかを説明するのではなく、
未来を創るために何ができるかを考えるのです。
僕たちには考え、語り合い、決断をする自由があるのですから。
誰もが自分の生き方を自分で決められる、
そんな自由で公正な社会の可能性を一緒に考えてみませんか?
ひとつでもいい。理不尽なできごとをなくすために!』
本書を購読したきっかけは、
『自分が自分の生き方を決められてはじめて、
ほかの誰かが自由を持てないことへの怒りも
こみあげてくるのではないか』という
本書に登場する言葉を紹介されていたことにあります。
是非、これからの日本を背負う若い方に読んでいただきたい一冊です。