今日7日の日経新聞「マネー&インベストメント」欄に掲載された
『退職金、一部運用でゆとり~リスク資産にも分散投資』を読んで、
「少し違和感」…、いや、「軽いめまい」を覚えました。
この記事では、
退職金の使い方は退職時点で退職金とは別にどれくらいの金融資産を持ち、
老後にどんな生活を送りたいかによって左右されるとして、
以下、次のように書かれていました。
・金融広報中央委員会の調査では、
50代の2人以上世帯の平均金融資産額は1325万円。
退職金(大卒で勤続35年以上の平均は2156万円)との合計額は3481万円。
一方、総務省の家計調査によると高齢夫婦の生活費は月27.5万円。
収入は21.3万円で、ほとんどが年金によるもの。
不足する6.2万円は貯蓄の取り崩しなどで補っている。
・厚労省によると女性の4人に1人が95歳まで生きるため、
夫婦2人の老後資金を考えるなら
65歳から95歳までの生活費を見積もるのが無難。
30年分の生活費を合計すると9990万円。
年金だけでは2232万円が不足する計算だが、
退職時の手元のお金は3400万円超なので、
大きな出費をしない限り取り崩しで生活できる。
・生命保険文化センターの調査で
「経済的にゆとりある老後生活費」はいくらかを聞いたところ、
平均で月34.9万円。
収入が家計調査と同じだとすると、毎月の不足額は13.6万円。
30年では4896万円で、退職時の手元のお金だけでは1415万円も不足。
う~む……、これはこれで理解できるのですが、
定年前の一般読者の方に誤解を与えてしまうのではないかと思います。
というのも、この記述には、
60歳定年退職から年金支給開始年齢までのことが触れられていないからです。
公務員を例に取ると、平成25年度に60歳定年退職となる職員から
公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に65歳へと引き上げられています。
昭和30年生まれの私の場合、62歳になるまで無収入期間が生じます。
雇用と年金の接続を図るため、再任用制度が用意されているものの、
給与所得は現役時代の半分以下、おまけに最初の一年間は、
前年所得に係る住民税が重くのしかかります。
ですから、実際は、資産の運用ができる人はマイノリティで、
記事に書かれている65歳になるまでに
退職金や金融資産を取り崩さないと生活していけないのが一般的だと思います。
定年退職後の現実は、とても厳しいものがあるのです…。違うかしら?