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しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

ダルマを果たし、トポスに生きる

読書・文学

NHKテキストの100分de名著『獄中からの手紙~ガンディー』を読了しました。

番組指南役は、中島岳志東京工業大学教授です。

 

この著書の中で私が一番印象に残ったのは、

やはり、ガンディーが考えた倫理的経済、

そして「スワデーシー」(自国産品愛用運動)の根本にある

「ダルマとトポス」という概念について書かれた箇所でした。

 

中島教授によると、

「ダルマ」は実定法を超えた宇宙全体の法則のようなものであり、

自分がその中の有機体において果たすべき役割という意味、

一方「トポス」は、もともとギリシャ語で西洋的な概念で、場所を意味する、

それも、単なる場所ではなくて、それぞれの人が意味づけられている場所、

その場所に生きる人が「私がここに生きていて意味がある」

と感じられるような場所が「トポス」とのことでした。

 

そして、次のように述べられています。

『よく、「俺たちの時代は貧乏で大変だった」という話をされる年配の方がいます。

 もちろん、それはそれで大変だったのでしょうが、

 そこにはある意味での「豊かさ」があったように思います。

 いくら貧乏な生活をしていても、仕事が大変でも

 「頑張れば田舎の家族を食べさせられる」「もっと楽な生活ができる」といった、

 「苦労する意味」、「生きている意味」が明確に見えていたはずです。

 今の若者たちが生きている世界は、そうした「意味」を見いだせない世界です。

 それはつまり、自分の「役割」や「生きる場所」

 ---ダルマやトポスを欠いてしまっている世界だといえます。

 ガンディーなら、「それでは人間は生きられない」というでしょう。』

 

う~む、なるほど……。

確かに、私の子どもの頃も、家計は苦しそうだったけれど、

こころは今よりもずっと豊かに過ごしていたように思います。

ということは、皆それぞれに「役割」と「生きる場所」があったのかもしれません。

 

中島教授の解説は、さらに次のように続きます。

『スワデーシーの倫理とは、

 まずは身近な人たちのために尽くすということからはじまる。

 自分が今生活しているその場所において、なんらかの役割を果たし、

 隣人たちに貢献することで、自分が生きている、

 そこにいる意味を見出すことができる。

 これは、まさにダルマとトポスという問題です。

 ダルマを果たしてトポスに生きるということが、人間の本質ではないか。

 ガンディーは、そう考えていたのだと思います。』

 

インド独立の指導者ガンディーの思想と行動が、

なぜ多くの人々に大きな影響を与えることができたのか……。

この著書を読んで、その「哲学」が少し理解できたように思います。

 

ガンディー『獄中からの手紙』 2017年2月 (100分 de 名著)

ガンディー『獄中からの手紙』 2017年2月 (100分 de 名著)