今日15日の朝日新聞社説は、
憲法を具体化するために憲法と同じ日に施行された地方自治法について、
『70年の節目に、改めて問う。地方自治は機能しているか。
答えは残念ながら、不十分だと言わざるをえない。』
社説にはこのように書かれていました。
具体的には、
分権改革の最大の成果である機関委任事務の廃止が2000年に実現し、
政府と自治体の関係は「上下・主従」から「対等・協力」に変わって、
中央集権構造の解体の始まりを告げる「地方自治の夜明け」のはずだったのに、
いま分権改革は息切れしている、
いや、むしろ逆行しているようにさえ見えるとしたうえで、
分権改革の先行きは明るいとは言いない理由として、
一つは、沖縄県への強権的な姿勢など
安倍政権に地方自治を軽視する傾向が見られること、
そして、もう一つは、自治体側に中央依存体質が残っていることを挙げていました。
そして、社説には次のようなことが書かれていました。
『国の旗振りに応じ、全国各地で画一的なプレミアム商品券発行に走る。
まちづくりの計画立案をコンサルタントに丸投げする……。
地方行政が「お任せ」を続けているうえ、
地方政治では議員の政務活動費の乱費が後を絶たない。
これでは国と対等に渡り合えるはずもない。』
『振り返れば、公害対策も福祉政策も景観問題も情報公開も、
自治体が国より先に政策をつくってきた。
地域の課題は地域の力で解決する。
そんな社会をつくるには財源や権限を思い切って自治体に渡し、
役割と責任を拡充する必要がある。』
私は県庁職員時代、
地方分権一括法が施行された平成12年(2000年)4月に、
市町村の行財政を担当する部署に配属されました。
それから通算で8年間、市町村の行財政に関する仕事に携わることになり、
この間、地方分権改革の推進や
究極の行政改革と言われた平成の市町村合併にも関わってきました。
平成12年から16年余りが経過し、
その間、県内に70あった市町村は20市町に激減するなど、
県内自治体はそれなりに汗をかいてきたと思っていたところ、
今日のこの社説では、「中央依存体質」であるとか、
「財源・権限の移譲」であるとか、
もう何年も前から指摘されていることが改めて指摘されていて、
現役の職員ではなくなったけれども、歯がゆく、空しく、悔しい思いをしています。
地方自治体が、いったいどのような状態になれば「地方自治の成熟」といわれるのか?
ふと、西尾勝先生の「未完の分権改革」という言葉を思い出した次第です。