しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

年をとるということ

乗り物に酔った感じの体調不良がなかなか治らないので、

昨日は妻の勧めで脳神経外科を受診してきました。

 

先生にこれまで症状を説明し、MRIを撮ってもらったところ、

脳の一部に白い部分が少しだけあることが画像で分かったのと、

副鼻腔炎が上顎洞という箇所に発症していることが判明しました。

脳の白い部分は大丈夫らしいので、まずはこの副鼻腔炎を治療すべく、

約一か月分の飲み薬を処方してもらい、その後、再びMRIを撮ることになりました。

意外な病気に罹っていることに驚きましたが、

年を取ると、いろいろなところにがガタがきていることを実感します……。

 

さて、毎日少しずつ読み進めていた

『暮らしの哲学』(池田晶子著:毎日新聞社)を読了しました。

いろいろと考えさせられる記述が盛りだくさんの本でしたが、

先ほどの「年を取る」ことに関して、次のような記述が印象に残っています。

 

『私が年をとることを、おいしい、面白いと感じるのは、

 自分の心がいよいよ深く豊かになってゆくのをはっきりと自覚するからです。

 ああ、こんな感覚、こんな考えは、若い頃には知らなかった。

 こんなにも深く、あの考えが成長した、こういう内なる成熟を、

 日々観察し味わいつつ暮らすことである老いるということは、

 私にとって非常な喜びでありまして、

 神は(自然は)我々の晩年にかくも素晴らしいごほうびを用意してくれていたのか、

 そういう感謝めいた気持ちにすらなるものです。

 とくに抽象的な話ではありません。

 たとえば、かつて何でもなかった体のある動きが、

 不自由になっているのを感じる。

 このこと自体が私には、ひとつの新たな発見でありまして、

 なるほど人の言う不自由、不如意とはこのことだったのか。

 世界の層が、そのぶんだけの厚みを増します。

 ~(略)~ まあそんなふうに、私にとっては年をとるということは、

 それ自体が人生の醍醐味のようなものなので、

 アンチエイジングで抵抗するという気にはとてもなりません。

 気持ちを若く保つなんて言い方も聞きますが、

 そんなことする必要なんか全然ないんです。

 だって、80歳の人間が40歳の人間と

 同じ感じ方や考え方をしてどうするんですか。

 老人には老人にふさわしい経験と知恵が備わっているべきです。

 そうでなければ、何のためめにそんな年まで生きたのかわからない。

 年をとってから変わるのは、それこそ大変なことです。

 今のうちから、幸福の価値転換をはかっておくことをお勧めします。』

 

う~む……、年をとるというのは、そういうものなのでしょうか…?

凡人である私は、著者のような境地に達することがなかなかできません。

「年をとってから変わるのは、それこそ大変なこと」だと思っています。

 

暮らしの哲学

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