今月9日付けの『溜池通信』で、
最近流行のコーポレート・ガバナンス論に関し、
『企業を動かす動機は本来、内発的なものであるべき』として、
次のようなことを書かれていました。
『 ~(略)~ 裏を返せば、ESG(環境・社会・ガバナンス)の
スコアがいいからと言って、それでいい企業を発見できるわけではない。
例えばガバナンスの仕組みという点では、
東芝は明らかに先端的な取り組みを行っていた。
それでは立派な経営を行っていたかといえば、
現在は投資家の期待を大きく裏切っている。
だから、外形的な基準でガバナンスを云々することにはあまり意味がない。
企業の行動原理は、当然のことながら会社の内側に求めなければならない。
そのヒントは得てして会社の歴史の中に隠れている。
間違っても会社の方針を、 投資家や有識者などの外部の意見に
求めるようであってはならないと思うのである。』
一方、今月13日には、岡本全勝・内閣官房参与が、
「人という財産」というタイトルで、HPに次のようなことを書かれていました。
『 ~(略)~ 「人は財産」という割には、企業会計はそれを評価しないのですよね。
「個人の財産」と言ったときに、多くの場合、不動産や預金を指しますが、
略歴に書く各種の資格や学歴、そこには書かれない人柄や能力、
友人や趣味なども大きな財産ですよね。
職場にあっても、組織の能力は、売上高や商品だけでなく、
従業員の能力や社風もあります。数字に表せない能力もあるのです。
国や地域でも、お国柄、社会関係資本など、数字に表せない「強さ」があります。』
一見、つながりがないようなお二人のご意見ですが、
「企業の行動原理は会社の内側に求めるべき」とか、
「組織には数字に表せない能力もある」とか、
根底にあるお考えには、共通のものがあるような気がしました。
ちなみに、私は毎日、このお二人のブログを読むことが習慣になっています。
いつも最新の知見を勉強させてもらって、とても有難いと思っています。