梅雨に入ってから雨がほとんど降らず、晴れた日が続いています。
そろそろ一雨降って欲しいところです……。
さて、『2025年 日本の農業ビジネス』
(21世紀政策研究所編:講談社現代新書)を読了しました。
今私が働いているのは農林関係の公益財団法人なので、
書店で平積みされていたこの本の帯紙に、
「日本の農業はこう変わる!」と書かれているのを見て、
仕事に役立つことが書かれているかもしれないと思い、購入したものです。
本書によると、ながらく農政・農協頼みだった国内の農業が変わりつつあり、
成長ビジネスとしての農業経営体が日本の各地で誕生・展開しはじめていて、
その「新しい農業」を実践している事例がいくつか紹介されています。
そして、わが国の農業を成長させるカギは、
企業が参入しやすい環境を整備することが、結論のひとつとして書かれていました。
う~む、なるほど、そういうものですか……。
本書を読んでいると、市場や消費者に重点を置く立場であることが
次第に分かってきますが、そもそも21世紀政策研究所が、
企業寄りの主義・思想を考慮に入れる必要があるかもしれません。
ところで、昨日17日の日経新聞に、
「吉野家ホールディングスが農業事業を縮小したことが明らかになった」
という記事がありました。グループの外食チェーンの食材にするために
神奈川県などでコメや野菜を作っていたけれど、
黒字化のメドが立たず、生産をやめたそうで、
「農業の再生を期待される企業参入だが、実際は撤退するケースが少なくない。
本業のノウハウを生かす緻密な戦略が求められている。」と書かれていました。
さらに、その記事には次のような解説がありました。
『多くのケースで共通なのは、本業のノウハウを生かそうとして参入し、
農業の収益性の低さに直面して黒字化に見切りをつける戦略の「甘さ」だ。
日本は輸入農産物も合わせれば、
年間の食品ロスが数百万トンに達するほど供給過剰になっており、
農産物の生産で利益を出すのは簡単ではない。
規制が企業の農業ビジネスの障壁になっているわけでもない。
~ (略) ~
農業は高齢農家の大量引退が始まり、大きな変革期にある。
そうしたなか、有力農家が規模拡大の好機を生かすために法人化するなど
「企業的な経営」は成長の条件の一つ。
農業に参入する企業も農業の収益性の低さを踏まえたうえで、
競争に打ち勝つ新たな戦略が必要になっている。』
農業を企業的な経営として成り立たせるはとても難しいことがよく分かります。
この本は、日本農業の未来を考える意味では、一読の価値があると思います。